様々な心理療法~交流分析②~「人生態度」あなたもOK、私もOK!

今日は、交流分析の構成要素7つのうち、2つめ「人生態度」についてです。

1つめの「自我状態」についての説明をまだご覧になっていない方は、下記からページに飛べますので、是非ご参考ください。

①自我状態 (自分の中の傾向、心の成り立ち、エゴグラム)

②人生態度 (人生の基本的立場)

③ストローク (相手の存在を認めるすべての言動、ふれあい)

④対話分析 (コミュニケーション)

⑤時間の構造化 (時間の過ごし方)

⑥ゲーム分析 (不快な心理ゲーム)

⑦人生脚本 (人生のシナリオ、価値観)

それでは早速今日も一緒に勉強していきましょう!

人生態度(人生の基本的立場)

ここでは、自分と他人に対してどのような立場をとっているか、という点に着目します。

人生態度には、以下に説明する4つの人生態度があります。

(1)私はOK、あなたもOK。

自分に対しても他人に対しても肯定的で受容的な姿勢です。

ありのままの自分を受け入れて大切にでき、相手のことも同じように尊重し大切にできるので、

他人と共に楽しんだり喜びを分かち合ったり、励まし合ったりできます。

人間関係が最もスムーズにいきやすく、交流分析で目指すべきはこの態度とされています。

(2)私はOK、あなたはNOT OK。

自分に対しては肯定的だが、他人に対しては否定的な姿勢です。

他者より自分が勝っている、優れていると感じているため、

「どうして私がこんなことを」と不当に扱われているようで不満を感じたり、イライラしがちで攻撃的になりやすい態度です。

(3)私はNOT OK、あなたはOK。

自己否定、他者肯定の姿勢です。

他人と比較して「みんなは出来ているのに自分は出来ない」と、

他の人よりも自分が劣っていると感じがちです。

心配や後悔が多く、劣等感にさいなまれ、常に何かに追われているような感覚に陥りがちです。

(4)私もあなたもNOT OK。

自分に対しても他人に対しても否定的な態度です。

この態度が強いと、常に劣等感を疎外感を感じ、人生に価値を感じられず、

無気力、恐怖、絶望感などで、自分の殻に閉じこもってしまいがちです。

社会から見捨てられたような気分で落ち込んでしまい、

他者から愛情を向けられても、「自分には愛される価値がない」「愛すべき価値がある人なんているはずがない」と

否定的な感情が先行してしまい、素直に受け入れることが出来ません。

この状態は非常に辛く、一刻も早く抜け出せるよう、

まずはありのままの自分の存在を肯定できるようになることから始めるのが良いとされています。

人生態度は1つではない。

私たちは、1つの人生態度を常に維持しているというわけではなく、1から4の態度の間を、常に揺れ動いています。

常に、第一の立場である「私もあなたもOK」という自他肯定の状態にあるのが理想ですが、

人間ですから誰しも、時には優越感に浸ってしまったり、時には人と比べてしまって落ち込んだり、

時には全世界から見捨てられたような、絶望的な気持ちになることもあるかもしれません。

例え、今のあなたが2から4の人生態度にいることが多いとしても、

1にいる時間を少しでも多くすることを目指し、意識して生活することで、

あなたの人間関係、そして人生は必ず向上していきます。

自分のネガティブな人生態度の原因は何だろう?

あなたが他人と比べて何だか不安になったり落ち込んだり、

不当な扱いを受けているようにイライラしていると感じているとき、

自分の態度がどの人生態度に属しているか考えてみましょう。

そして、自分が2から4の態度を取っていると自覚した時、

「なぜ私は今この態度を取っているんだろう」と分析してみてください。

状況や体調に左右されているだけということもありますが、

幼少期に感じた愛情不足や、条件付きのストローク(次に説明しますが、あなたに大して投げかけられる言動のすべてだと理解してください。)の影響かもしれません。

例えば、「お兄ちゃん/お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」とか、

「同じクラスのあの子はしっかりしてるのに、あたなはこんなことも出来ないのね」などと言われて育ってきたとしたら、

あなたは、「自分には優先される価値がない」「人と比べて自分はダメな人間だ」と、

大人になった今でも感じてしまう原因になっているかもしれません。

もしそうであれば、まずはそのことを自覚し、気付くことが第一歩です。

そして、今のあなたは親や養育者から切り離された、一人の大人であることを再確認してください。

子供の頃にどのような経験があったとしても、個別の大人であるあなたには、

自分自身の意思で、目の前に広がっているあなたの人生を理解し、決断し、生きる力があり、その権利があるのです。

「今ここ」を意識し、第一の人生態度を目指そう。

私たちの基本的な人生態度というのは、

自分を育ててくれた親や関係の深い大人との関係から人とのふれあい方を学習し、

10歳前後には出来上がると言われていますが、

「今ここ」を重視する交流分析では、あなたが常に成長できる力があることを信じています。

自分を肯定するということは、

人よりすごい人になることでもなく、

自分の悪いところをすべて改善することでもなく、

自信満々な強い自分になるということでもありません。

「欠点も、弱さも、出来ないこともダメなところもある自分。

そんなありのままの自分で存在していていいんだ」と、

自分自身の存在を、自分で認めてあげることです。

「今ここ」を見つめることで、「私もあなたも、みんなOK」という姿勢を取り戻していきましょう。

そして、あなたには必ずその力があることを、信じましょう。

最後に。TAの基本的哲学をお話しします。

以上が、交流分析における「人生態度」のお話でした。

人生態度で目指すべきとされる「私もOK、あなたもOK」という自己肯定・他者肯定の態度というのは、

「ありのままの私で大丈夫。あなたも、そのままのあなたで、大丈夫」と、

お互いを認め合い、肯定し合う態度です。

常に、「ありのままの自分で大丈夫」と思うことは、実はそんなに簡単なことではないかもしれません。

「〇〇していなければ、自分には価値がない」と感じて焦ることもあるかもしれません。

でも、「時々そんな風に焦っている自分も含めて、こんなありのままの自分でいいんだ」と思えた時、

あなたは、「私はOK」という姿勢を取れていることになります。

完璧な人間になることは出来ませんし、目指す必要もありません。

「だって、人間だもの」と、自分も他人も受け入れることができると良いですね。

その上で、「今ここで、自分には何が出来るか」と考えていきましょう。

私たちは過去に生きているわけでも未来に生きているわけでもなく、

「今」を生きています。

「私もあなたもOK」そして「今ここ」という考え方は、交流分析の基本的な哲学とされており、大前提となるものです。

私たちは、誰もがそのままでOKということは、

例え、時には間違いを犯したり、嫌なことをしてしまったとしても、

「あなたがあなたという人間であることを受け入れる」ということです。

今ここ、というのは、

自分の人生に何を望むかを決める権利、そして責任は、今ここを生きる私たち自身にあるということです。

過去に何が起こっても、未来がどんなに不安に満ち溢れているように思えても、

自分の運命を決め、変えていくのは、今ここにいる私たち自身なのです。

この基本的な哲学的大前提は、交流分析を学術的に学ぶ必要のない人も、

もしもいつか、過去や未来に囚われて今の自分を否定しそうになった時に、

思い出してほしいなと思って、最後に紹介させていただきました。

「私もあなたもOK」「今ここ」

是非、覚えておいてくださいね。

今日も一緒に勉強してくださりありがとうございました。

神田華子でした。