忘れたい過去に囚われているあなたへ。

あなたには、忘れたくても忘れられない過去がありますか?

修復不可能な仕事のミス、関係が途切れてしまった友人、大好きだった恋人との別れ、

誰かを深く傷つけてしまった自分の過ち、取り戻せない信頼関係。

生きていると、色々なことがあるものです。

思い出すだけで悔しくて苦しくて、後悔の念でいっぱいになる、

そんな辛い過去は、早く忘れ去ってしまいたい。

頭ではそう思っていて、現実を必死に生きようとしているのに、ふとした瞬間に思い出しては、

「あの時こうしておけば・・・」

「あんなことを言わなければ・・・」

そんな風に、過去の可能性を妄想しては、自分を責めたり、取り戻せない楽しかった日々を懐かしんだりして、辛い思いをしてしまう。

どうしてこんなに苦しいのでしょう?

どうして、忘れたいのに忘れられないのでしょう?

今日は、そんなあなたに向けてこの記事を書いていきたいと思います。

「忘れたい」という気持ちを、パッと手放す。

起こってしまった過去の事象は変えられないのに、どうしてその過去を忘れたいのか。

それは、思い出すことが苦しいからですよね。

でも、「忘れたい、忘れよう」と、強く思えば思うほど、

その思い出を、ギュッと掴んで離せない状態になっています。

忘れようと固執すればするほど、ますます忘れられなくなります。

まずは自分で、「忘れることは出来ないんだ」「忘れる必要は無いんだ」ということを受け入れてください。

「忘れたい」と、無闇に握りしめていたものを、パッと手放している自分を想像してください。

あなたが忘れたいと思っているその過去の時間は、完全に過ぎ去ったものだとしても、確かにあなたの人生に存在したものです。

その過去は、いつまでもあなたの人生についてくるものです。

過去の出会いや経験のすべてが今のあなたを作っているとしたら、

もうその思い出はあなたの一部です。

忘れることなんて出来ませんよね。

忘れなくて良いんです。

苦しくていっそのこと忘れたいという気持ちがあるのは分かります。

でも忘れることは出来ないし、忘れる必要は無いんです。

まずは、それを受け入れましょう。

苦しみの理由を知る。

では、どうしたらその苦しみから抜け出すことが出来るんでしょう。

まずは、なんとなく感じているその痛みにただひたすら蓋をするのではなく、その原因を考えてみましょう。

苦しみの理由を探るのは、誰にとっても怖いことです。

自分の弱さや失敗、足りなかった部分に、真っ向から向き合うことになるかもしれないからです。

どうしてこんなに苦しいのか。何をこんなに後悔をしているのか。

一体自分は何を求めているのか。今の自分だったらどうするのか。

このように、苦しみの原因を探ることは、そこから何を学べるかを探ることに繋がります。

自分のそのネガティブな感情の裏にある、本当の望みに気付けたら、

後ろばかり見て嘆いていたあなたが、その過去を学びや経験として捉え、前を向けるきっかけになるかもしれません。

そうすると、その過去というのは、苦しいだけのものではなくなってくるはずです。

そこから、今の自分に何が出来るのかを考えることが出来れば、

ただひたすら蓋をして抑えていた気持ちがスっと流れていって、フワッと楽になっていくと思いますよ。

まずは、今の自分が何を求めていてこんなに苦しいのかを、きちんと見つめて知ることです。

すべては必然であり最善である。

今ある状態というのは、あなたの人生においてすべて必然で、最善の状態です。

「その過去は自分にとって必要な経験だった。」

そう信じることで、あなたの脳は自動的にその理由を探し始めてくれます。

物事に意味を与えるのはあなた自身です。

過去に与えている意味付けを、変えることが出来るのもあなただけです。

過ぎてしまった過去は取り戻せませんが、人生におけるすべてには何かしらの意味があるとしたなら、

あなたは忘れられない過去にどのような意味を与えますか?

過去に起きた出来事は変えられませんが、

その過去を、苦しいものにしてしまっているのは、あなた自身なのかもしれません。

過去の自分を許す。

今のあなたが過去を振り返り、「ああすればよかった、こうすればよかった」と考えていることを、過去のあなたには考えられなかったのです。

先ほどの「すべては必然で最善」という言葉の「最善」というのは、

過去に起きたことは、その時に起こりうるベストだったという意味です。

過去の時点でのあなたにはそうするしかなかった、「もっとこう出来た」というのは妄想でしかなく、

実際には、過去のあなたにとって、そうすることが「最善」であったから、そうなっているのです。

過去の自分を責めるのではなく、受け入れてあげましょう。

「確かに、あの時の自分には余裕がなかったもんね」

「まだ考えが未熟だったんだなぁ」

「寂しかったんだよね」と、

自分の過ちや後悔も含めて、認めてあげましょう。

過去の後悔を未来に活かすことは大切です。

でも、過去に囚われて苦しんでいるままでは、前に進めませんね。

「今」という時間も、当たり前ですがやがて過去になります。

その時、今の自分がどんな自分であっても、未来の自分はあたたかく受け入れてくれるということを信じられるようになるには、

あなたが過去の自分をしっかりと受け入れてあげられることが必要なのです。

思い出は美化されるもの。

私たちの記憶というのはいい加減なもので、

写真のネガのように、あったことをそのままの状態で留めておけるのではなく、

私たちが記憶したいように、自分の都合の良いように、姿形を変えるものなんですね。

私たちは往々にして、素晴らしい記憶だけを鮮明に記憶に残し、嫌な思い出を最小化してしまうことがあります。

また、人には、手に入らなかったものが余計に欲しくなるという心理があります。

手に入るとその価値を感じなくなる、自分のものだと思うと大切に出来なくなるということも多く、

大切なものは失ってから気付くと言いますが、実は失ったからこそ価値を感じるとも言えるんですね。

これは、そんな風に感じるあなたが悪いのではなく、人間であれば程度の差こそあれ、誰にでも起こりうる心理です。

終わってしまった恋、叶わなかった夢など、

失ってしまったものというのは、今はもう目の前にないからこそ、実際以上に美しく見えるものです。

忘れられない思い出というのも、あなたの都合に合わせて美化されている可能性がある、ということを知っておきましょう。

前に進めないことの言い訳にしていないか?

過去を理想化し執着することで、前に進めないことの言い訳にしているケースもあります。

後悔している、反省していると、後ろを向いているうちは、前に進まなくて良いからです。

たとえば、ある人のことを忘れたくても忘れられない、あんなに自分を理解してくれる人には二度と出会えない、そんな風に感じているとしましょう。

でも、その考えに固執することが、「どうせあの人のような人は現れないから」と、

今、自分の現実世界にいる人を信じることから逃げるための、

目の前にある現実から目を背けるための、言い訳になっているかもしれません。

誰かを信頼して心を開くというのは怖いことです。

傷付いた後であれば尚更のことです。

誰かとまた心を通わせることへの恐怖、自分を分かってもらえないかもしれないという不安などから逃れるために、

無意識のうちに、過去に固執することで、前に進めないことの言い訳にしていないか、自分に問いかけてみましょう。

後悔や過去への反省を言い訳に、前に進んでまた傷つくのを避けているのだとしたら、その苦しみが消えることはないでしょう。

あなたがその状態を望んでいるからです。

でも、どんなに過去に執着しても、自分の中に言い訳を見つけても、

私たちは常に、自分の目の前にある現実にしか、向き合えません。

過去の楽しかった思い出を心の拠り所にするのは悪いことではありません。

過去の誰かを思い出すことで、元気や勇気をもらえるのであれば、それは素晴らしいことです。

でも、その思いがあなたを苦しめているのであれば、

少しだけ、捉え方を変えてみませんか。

形のあるものを無くす。

写真やプレゼントなど、目に見える形で残っているものがあれば、

その時の気持ちが思い出されて忘れられなくなってしまうのは当然です。

失ったものや過去に執着して苦しいと感じているのであれば、

そういった目に見えるものをすべて捨ててしまうことも有効です。

後から後悔することもあるかもしれません。

でも、結局のところ、

大事なものはいつも目には見えない、形に残らない、心の中だけにあるものなのです。

最後に。

過去を経て幸せになれた時にだけ、その過去にプラスの価値を見出せるものだと思うかもしれません。

でも、そんなことはありません。

思い出すだけで怒りを感じてしまう出来事も、未熟だった自分への後悔も、

過去の自分自身も含めて受け入れることが出来れば、

それはいつだって、あなたの人生に大きな教訓を与えてくれるはずです。

取り返しのつかない過ちを犯してしまった、二度と手に入らないものを失ってしまった。

その胸の痛みは、消えることはないかもしれません。

でも、今あなたはここにいます。

今日もここに存在して、生きています。

忘れられない過去を受け入れ、過去の自分も、今こうやって悩んでいる自分も認めてあげて、

その過去を活かして「今」をどう生きるか、どう生きていきたいか、ということに目を向けることが出来れば、

少しずつ、あなたを苦しめている「過去」から解放されていくはずです。

過去にひたすら蓋をして、いつか忘れられる日が来るのをただ待っていたあなたが、

その過去を受け止めて受け入れて、向き合ってみた時に、

必死に悩んで苦しんでいた自分が、愛しくなってきませんか?

もしそう感じたなら、ちゃんとその時の自分を、抱きしめにいってあげてくださいね。

あなただけが、今のあなたと過去のあなたを、そして未来のあなたを、

苦しみから解放してあげられるんですよ。

その時のあなたは、

きっと素敵な笑顔をしていると思いませんか?

私はそう思います。

これを読んだ今日のあなたが、昨日よりも少しだけ前を向いていられますように。

神田華子でした。