他の人が怒られているのが気になる、優しいあなたへ。

自分ではなく他の人が怒られているだけなのに、まるで自分のことのように気になり落ち込んでしまう。

このように感じてしまう方はいないでしょうか。

こういう方々は、共感する神経細胞ミラーニューロンが活発で、

他人が怒られていることを自分が怒られているように感じたり、他人の落ち込みが伝染したり、自分のせいかなと不安に感じてしまいます。

他人に共感できる優しい人ということなのですが、当人の精神的には、なかなか辛いものですよね。

これまでのストレスフルな人間関係による影響や、共感性羞恥心が高かったり、発達障害や自閉症、HSPという可能性も考えらえれますが、

自分と他人の境界線が曖昧で、他人の問題を自分のもののように捉えてしまうということが原因です。

今日は、他の人が怒られているのが気になってしまうという人が意識すると良いことを4つお伝えしたいと思います。

①他人との境界線をしっかり意識する。

他人と自分は違う人間です。

他人と自分の間にある境界線がぼんやりとして薄い人は、

他人の問題を自分のことと捉えてしまい、苦しくなってしまいがちです。

ここに、しっかりとした境界線を引くことが重要です。

アドラー心理学でいうところの「課題の分離」と言えますが、

相手の領域と自分の領域をきちんと分けて考えて、

相手の領域には踏み込まない、自分の領域には踏み込ませないという意識が必要です。

どこまでが相手の課題で、どこまでが自分の課題なのか、

すなわち、どこまでが相手が責任を負うべきことで、どこまで自分が責任を負うべきことなのかということを、しっかりと認識することが必要です。

相手との間にしっかりとした境界線を引くことで、「他人のこと・自分のこと」を、分けて考えられるようになります。

もちろん、目に見えないものですから、実際に線が引けるわけではありません。

心の境界線を引けるようになるには、まずは物事に対し、「これは誰の課題か?最終的にこの結果の責任を負うのは誰なのか?」ということを考え、

それが自分ではないのであれば、「これは私の課題ではない。今私は境界線を踏み越えて、相手の領域に入ろうとしていただけだ。」と、認識することです。

②他人は自分と同じようには感じていない。

人が怒られていることに胸を痛める人は、共感性が高く感受性が豊かな人です。

人間は主観で考えてしまうものですから、「自分がこんなに傷ついているから、相手も同じように傷ついているだろう」と思ってしまうかもしれませんが、

実は、相手がそこまで気にしているとは限らないんですね。

みんなの前ですっごく怒られてたから心配してたけど、本人は意外とけろっとしていた、ということもあるのです。

人によっては、すぐに仲間内での笑い話に昇華できる人や、飲み会のネタになるな程度に軽く受け止めている人もいるものです。

怒鳴り声への耐性も人それぞれ違うものですし、喋り方の癖に対する聞こえ方、というのも人それぞれです。

たとえば関東の方が関西や九州の方が話しているのを聞くと、普通に話しているだけでも荒々しく聞こえたり、怒っているように聞こえることがあるそうです。

あなたが、彼らは喧嘩しているのかな、とソワソワしている一方で、相手は単に仲の良い間柄で、コントのような会話を楽しんでいただけだった、ということもありえるのです。

あなたが気にしてることを相手が同じように気にしているとは限らない、同じように感じているわけではない、ということを心に留めておきましょう。

③人間関係は修復できると信じる。

人間同士というのは不思議なもので、どんなに関係の悪かった相手でも、時を経て和解しているということもあるものです。

誰かが怒られている現場を目撃した後、あなたが見ていないところで、何かしらのフォローがあったかもしれません。

怒鳴り合いの喧嘩をしても、しばらくすると仲良くなっていたり、人間同士というのはどこで絆が深まるか分からないものです。

あなたの目の前で繰り広げられたバトルが、彼らの全てではないのです。

人は変わっていくものですし、時間が解決してくれる問題もあります。

いつかきっとうまいこと関係は修復されると、信じてみましょう。

逃げる。

誰かが怒られている時に、どうしても気になって嫌な気持ちになってしまう、という場合は、とにかくその場を離れることです。

そして深呼吸や瞑想をしたり、自分の気持ちを落ち着かせることに意識を集中させましょう。

また、あなたがいる環境が、常に罵声や怒鳴り声が響いているようであれば、その環境自体がかなり問題ありです。

罵声や怒鳴り声が通常のコミュニケーションになっていて、それが当たり前のように受け入れられている環境であれば、

その環境自体から逃げるという選択肢を持つことも大切です。

ストレスで心が固くなっていると、どうしても視野が狭くなりがちですが、絶対にその環境にいなければならないという理由は、よっぽどのことがないと無いはずです。

逃げるというのは、まったく恥ずかしいことでも、悪いことでもありません。

私も以前は、負けるのが嫌で、逃げることは負けを認めることで、恥ずかしいことだと思っていました。

でも、「明日勝つために、今日負けるという選択肢がある」ということを学んでから、「今この瞬間に負けてはならない」という狭い視野から、抜け出すことが出来ました。

明日の自分が勝つために、未来の自分が笑顔でいるために、今、引き下がったり逃げるという選択肢は、悪いことでも恥ずかしいことでもないと分かったのです。

自分を守るために、自分の大切な人生を費やす場所が、安全な場所ではないのであれば、逃げるという選択を取ることを、自分に許す勇気も必要です。

もし、相手への怒りを感じたら

「そんな言い方しなくても良いのに・・・」「そんなに大きな声出さないでよ・・・」と、怒っている相手への怒りの気持ちが湧いてくることもあるかもしれません。

誰かのために怒れるあなたは優しい人ではありますが、そういった正義感が過剰になると、批判や誹謗中傷など、誰かを攻撃する行動に繋がってしまいます。

それに、他人への正義感で怒るということは、決してあなた自身の幸せにはつながりません。

他人が怒られている時に、怒りの感情が湧いてきた時には、まずはその感情を自分で受け止めてあげてください。

「あんなの目の前で見ちゃったら、そりゃ嫌な気持ちになるよな。あんな言い方されたら自分だったらムカつくもんな。」と、自分で自分の怒りを認めてあげてください。

そして、なぜ自分は怒りを感じているのかというハッキリとした原因と、その怒りの根底にどういう気持ちがあるのかを、客観的に分析してみてください。

いつもご紹介している方法ですが、カメラがズームアウトするように、その状況の中にいる怒っている自分を少し遠くから眺めてみて、自分自身の気持ちに集中しましょう。

その上で、「~べきだ」という考え方はあくまで自分のものであり、それを相手に押し付けることはエゴであり、傲慢であると言い聞かせることが必要です。

相手には相手の価値観があり、背負っている何かがあり、立場があり、感情がある。

あなたの怒りをあなたの正義感で正当化しているように、相手の怒りも相手にとっては正当化されている可能性があるのです。

それは決してあなたにとって理解しえないものかもしれませんが、そういう背景を想像してみるという気持ちは大切です。

あなた自身が怒りに飲み込まれてしまわないよう、自分の感情にしっかりとアンテナを立てておきましょう。

なかなか気分を切り替えられない時は?

ネガティブな感情をなかなか切り替えられない人は、セロトニンが足りていないことも原因の1つかもしれません。

セロトニンとは、精神の安定や安心感、直観力など、脳を活発に活動させる脳内の神経伝達物質です。

ストレスに対して効能のある脳内物質で、精神安定剤とよく似た分子構造をしており、

メンタルヘルスにおいて非常に重要な働きを持っています。

このセロトニンが不足していると、気分が落ち込みやすくなったり、気持ちの切り替えが出来なくなり、リカバリー力が下がります。

セロトニンは、日光浴やリズミカルな運動などで分泌を促すことが出来ると言われていますので、

朝の光を浴びる、散歩や軽い運動をする、また、基本的なことですがしっかり睡眠をとる、バランスの取れた食事で栄養をとる、ということが大切です。

人や動物との触れ合いでもセロトニンは分泌されると言われており、肌と肌の触れ合いだけではなく、

心の触れ合い、例えば家族団らんや、気の置けない友人とのお喋りなども含まれます。

心と身体は密接につながっています。

忙しい現代、やるべきことややりたいことが多すぎて、どうしても自分自身のことというのは後回しになりがちですが、

毎日死ぬまで自分を支えてくれる自分自身の心と身体を大切に扱い、しっかりとケアすることを意識しましょう。

1日10分の日光浴からでも構いません。ベランダでも窓際でも構いませんので、太陽の光を浴びながら、ゆっくりと深呼吸をし、自分の呼吸に集中してみてください。

簡単に取り組めそうなことから始めてみて、なんだか気持ちが良いなと思ったら、是非続けてみてくださいね。

最後に。

他人の痛みを自分の痛みのように感じるという感受性の豊かな人は、その分、不用意に傷付きやすいです。

なんでこんなに繊細なんだろうと、疲れてしまうことが多いかもしれません。

でも、それは決してあなたの弱さではありません。

現代社会ではどうしても、比べられたり競争を強いられたりして、繊細であることの生きづらさばかりにフォーカスしてしまいがちですが、

そんなあなただからこそ感じられる美しさや、見える世界、得られる喜びや人間関係というものが、本来たくさんあるはずです。

生きづらさばかりが目について、悩んで疲れて傷ついた結果、自分自身を否定してしまわないように、

自分で出来る予防方法や対策方法を知り、意識して実践していきましょう。

・相手との距離をしっかり取り、自分との境界線を意識する。

・他人と自分は違うこと、同じように考えたり感じているわけではないことを理解する。

・人間関係は、いつでもどこからでも修復できると信じる。

・そして、劣悪な環境なのであれば逃げるという勇気を持つ。

・セロトニンを意識した生活をしてリカバリー力を上げる。

こんなことを、今日はご紹介しましたね。

でも、これらの方法はどれも、劇的な効果を感じられるものではないかもしれません。

今までも、これからも、あなたはあなたとして生きていくしかありません。

世界や他人は変えられません。

その中で、あなた自身がどう自分と世界を受け入れ、小さな恩恵を喜び、ささやかな幸せを感じることができるようになるか、というのは、あなた自身にしか変えられないことです。

自分自身を意識し、変えていくことで、少しずつ自分のいる世界が変わっていくのです。

何かを達成することや、何かを手に入れることで感じられる幸せというのはとても儚いもので、人は何かを得ると、また次のもの、もっともっと欲してしまうものなのです。

だから、人生を一瞬で変えてしまうような出会いや出来事を待つのではなく、

今いるここから始め、今いるここだけに集中しましょう。

1つ1つの学びや気付きを積み重ね実践していくことで、あなた自身が少しずつ変わり、自分のいる世界が変わっていることにふと気付く日が、いつか来るでしょう。

世界が変わるというのは、見え方が変わるだけかもしれませんし、実際にあなたが行動を起こすことで、あなたが身を置く人間関係や環境が変わっていく可能性があるということです。

焦らないで、ゆっくりで構いません。

1つ試してうまくいかなければ、他のことを試せばいい。

1度試してうまくいかなくても、またやってみればいい。

何度だって、やり直せますよ。

あなたがあなたを、許してあげられる限り。

優しいあなたが、今よりもっと優しい世界へ戻れますように。

神田華子でした。