精神科医とカウンセラーの違いって何?心の不調を感じたらどこに行けば良い?

精神科医もカウンセラーも、どちらも心の深いところに関わる職業ですが、実は大きく役割や出来ることが違うものです。

精神科医とは、当たり前のことを言うようですが、医学部に6年間通って医師国家試験に合格している、立派なお医者さんです。

お医者さんですので、患者さんの精神的な問題に、お薬を出して治療を行うことが出来ます。

カウンセラーとは、心の悩みを相談する相手であり、お医者さんではありませんので、病気の診断や投薬などの治療は行えません。

精神科医はどんなことをするの?

「精神科にいったのに全然話を聞いてもらえず、薬だけ出されて帰された。」

「精神科医なんて、患者を薬漬けにするだけだ。」

そんな話を聞いたがある方もいるかもしれませんし、実際に精神科や心療内科にかかったことがある方は、あまり話を親身に聞いてもらえずに、拍子抜けしたという経験があるかもしれません。

精神科での診察は、初診は治療計画やお薬の処方のために、比較的ゆっくりと時間をかけて話を聞いてくれますが、それ以降は5分から10分程度の診察で終了することがほとんどです。

精神科医はお医者さんであって、カウンセリングや心理療法の専門家ではありません。

また、多くの患者さんを限られた時間で診る必要があるので、どうしても短時間での診察になってしまうということです。

また、患者さんの状態によっては、下手にカウンセリングが出来ない危険な状況であることもあり、そのようなことも精神科医の先生は短時間で判断されているようです。

精神科医とはあくまでも、悩みを聞いてくれるカウンセラーや癒しをくれるセラピストではなく、お医者さんなのです。

咳が出て熱が出て苦しいから病院に行ったのに、「それは本当に大変でしたね。」と話を聞いてくれるだけで何のお薬も処方してくれないお医者さんは、きっとあまりいませんよね。

精神科のお医者さんも同じようなものだと考えてくださいね。

精神科で出されるお薬について。

心の病気に対する投薬に関しての良し悪しというものは、私は医者でも専門家でもなく、現時点で十分に勉強しているとは言えない状況ですのでコメントはできません。

ただ、精神科で処方される薬に限らず、どんな薬にも常に服薬のリスクや賛否両論はあります。

医療の世界も日々進化していますので、科学的な根拠や真実というもはどんどん更新されていますよね。

なので、精神科で出されるお薬だけに、無闇に批判的になる必要はないのではと思っています。

もちろん、他のお薬と同じように、用法用量を守って、正しく適用することが大切かなと思います。

ただ、処方されるお薬が、どのように作用してどのような効果があるかというのは、最低限教えてくれるお医者さんであると安心ですね。

これも、精神科医に限らず、どんなお医者さんでも同じですね。

私も正直、この勉強を始める前は、抗うつ剤や抗不安薬がどのように作用するのかまったく分からず、それ故になんだか怖かったのですが、

精神科医の先生の解説を伺い、実際に飲んでいる方のお話も聞く機会があり、

脳の神経伝達物質の分泌量を補ったり作用を整えたりするということで、感情やストレスは脳が司っているというお話とあわせて伺い、非常に納得できるものでした。

ただ、「薬を飲めば頑張れる」「薬を飲めば治る」と、服薬によって更に自分に鞭を打ってしまうことは避けていただきたいなと思います。

頑張って頑張って、頑張り続けて限界がきて心の病気になってしまったんですから、お薬を飲んだらこれ以上頑張らずに、しっかり休んでください。

そして、やっぱり私はカウンセラーですから、お薬を飲みながらでも、お薬だけに頼るのではなく、きちんと自分の置かれた状況を客観視し、自分自身を見つめ直し、大切にするということを、意識していただきたい。

そのために効果的なのがカウンセリングだと思っています。

カウンセラーはどんなことをするの?

カウンセラーというのは、相談者さん(クライエントと呼ばれます)の悩みをゆっくりと聞く、カウンセリングを行うことが仕事です。

1回のカウンセリングにかかる時間は、通常45分~1時間ですので、ゆっくりと相談者さんの状況を理解し、対話を進めることが可能です。

カウンセラーによって、カウンセリングのアプローチ方法や、軸としている流派や理論、取り扱っている心理療法が違います。

傾聴するだけという主義のカウンセラーから、様々な心理療法を駆使して治療を目指すカウンセラーもいます。

心理療法と一口で言っても様々な種類がありますが、例えば「来談者中心療法」「精神分析」「箱庭療法」「認知行動療法」「ゲシュタルト療法」などと言われても、普通の人にとっては、聞いたことあるような無いような・・・といった感じで、何だかよく分かりませんよね。

私のブログでも、今後それぞれの心理療法・理論について、少しずつ説明・紹介をしたいと思っていますが、

カウンセリングを受ける際には、そのカウンセラーがどのようなカウンセリングスタイルなのかということを、直接確認しておくと良いと思います。

ホームページなどに記載がなければ、お問い合わせや、初回カウンセリングで質問してみてくださいね。

カウンセリングを受けようと思う方の中には、お問い合わせメールや電話をすることに対してすら、とてつもなく神経をすり減らしてしまう方も多いと思いますし、

カウンセリング中にそのような質問をするのにも、大変勇気がいることかと思います。

でも、どのようなカウンセリングを行うかを丁寧に説明してくれ、あなたのカウンセリングに対する不安を取り除いてくれるカウンセラーが、信頼できるカウンセラーとしての1つの大きな条件だと思います。

初回カウンセリングのみ、無料や割引をしているカウンセラーも多いので、そういったものを積極的に利用して、

カウンセリングスタイルのみではなく、カウンセラーの雰囲気や喋り方、相性なども確認してから、カウンセリングを行うかどうかを決めると良いと思いますよ。

なぜなら、カウンセリングの多くは保険適用とならず、自己負担となります。

安くないお金をお支払いしてカウンセリングを受けるわけですから、しっかりと自分に合うカウンセラーを見つけることは、とても大切です。

自分に合っていないカウンセラーとの対話を続けることは、余計ストレスになったり、心の傷を深めることにもなりかねませんので、十分注意してくださいね。

私自身は、相談者さんの物事の捉え方、世界の見方や行動に着目する「認知行動療法」を中心としつつも、

1つの流派や理論にとらわれず、カウンセラーであり続ける限り常に勉強と努力を続け、相談者さんに合わせて様々な心理学アプローチを取り入れられる、そんなカウンセラーを目指しています。

カウンセラーの専門性について

ここまで語っておきながら、実は私の最初の投稿にも書きましたが、カウンセラーというのは、自分でカウンセラーだと名乗れば、誰でもなれてしまいます。

多くのカウンセラーと名乗る人達は、公認心理士や臨床心理士、または民間のカウンセラー資格ないしは心理系資格を取得していると思いますが、そうではないカウンセラーも存在しているということです。

公認心理士とは国家資格で、2017年に公認心理師法が施行され誕生した、比較的新しい資格です。

公認心理師カリキュラムを持つ4年制大学の学部を卒業後、特定の期間で2年以上の実務経験を積むか、公認心理師カリキュラムを持つ大学院に入学・修了し国家試験に合格する必要があります。

また、臨床心理士は国家資格ではありませんが、1988年から日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格で、受験資格として指定大学院または専門職大学院を修了する必要があります。

また、5年ごとに認定を受けなければなりません。

この2つがカウンセラーとしての代表的な資格であり、どちらも非常に専門性が高いといえるでしょうし、逆に言うと、こういった肩書を大々的に掲げていないカウンセラーは、ほぼ、その他何らかの民間資格を取得したカウンセラーであることが多いと思います。

しかし、だからといって必ずしも、専門性が低い、知識や経験が足りない、信頼に値しないということと、イコールではないと私は思っています。

だって、考えてみてください。

大学に進学する時点で自分の本当にやりたいこと、向いていることが分かっている人が、世の中にどれだけいるでしょうか。

自分自身のことも含め、世の中には学生という身分を卒業し、社会という荒波にもまれ、実際に経験してみて初めて分かることだらけだと思っています。

カウンセリングや心理学の世界とはまったく違う分野で進学し、普通に社会人生活を経験したものの、自分自身または周りの誰かの心の問題に身近で接すること等の経験をきっかけに、

心理学やカウンセリングという世界に興味を持ち、勉強を始めたという方も多いと思います。

でも、そうした経験があるからこそ分かることや、そこに捧げる熱意もあると思うんですね。

資格の有無にかかわらず、熱意のないカウンセラーや利益主義のカウンセラー、または勉強不足や人格不足で相談者さんを余計に傷つけたり落ち込ませてしまうカウンセラーも、残念ながら存在しているようです。

誰かの人生をより良くしたいと心から思っている、熱意や誠意のあるカウンセラーであれば、絶えず自己研磨をして様々な勉強を続けているはずです。

カウンセラーの質を見極めるというのは非常に難しいことだと思いますが、

何度も書いているように、カウンセラーの自己紹介メッセージやホームページのコラム、ブログなどを通して、カウンセラーの専門性や人柄を感じ取ったり、

初回無料や割引のお試しカウンセリング等を利用して、ご自身との相性を確かめてくださいね。

あなたの心を軽くする知識やテクニックは、世の中に何通りもあるかもしれませんが、目の前にいるそのカウンセラーが、どんなに専門的な知識が深く、何十通りのテクニックを知っていても、あなたの心に響かなければ、何の意味もないのです。

どんな時にどこに行けばよい?

心の不調を実感し始めて、誰かに相談したいなという程度であれば、まずはカウンセリングを利用してみると良いかもしれません。

心の中のありようというのは人それぞれ違うものですから、悩みにレベルや順番はつけられません。

こんな小さなことで相談していいのかなとか、私より大変な人はたくさんいるのにな、なんて、思う必要は全くありません。

きちんとしたカウンセラーであれば、あなたの話を聞いた上で、必要であれば精神科への受診をきちんと勧めてくれるはずです。

すでに下記のような症状が自覚出来るときには、うつ病の一歩手前とも言えますので、精神科や心療内科に行ってみるのが良いかもしれません。

・これまでとは違って意欲も集中力もなくなって、仕事でもミスが増えてきた。

・以前好きだったものへの興味がなくなって、何に対しても無気力になってきた。

・気分が落ち込み、不安やストレスで眠れない日が続く。

・気付いたら涙があふれてきている。

・自分なんて消えてしまえれば楽になれると感じることが増えている。

こんな風に感じた時には、すぐにその場で頑張り続けることをやめて、カウンセリングを受けたり、医療機関を受診しましょう。

自分を守るために、頑張ることをやめる、立ち止まる、逃げる、という選択をする勇気を、是非持ってくださいね。

精神科と心療内科の違いについて。

精神科と心療内科とは何が違うのか、よく分からない方がほとんどではないでしょか。

私もこの勉強を始めるまではそうでした。

調べてみると、診療範囲は重複している範囲もあり曖昧ではあるようなのですが、

すごく簡単に言うと、精神科とはうつ病や神経症などの精神的な問題を取り扱う科であり、

心療内科とは「内科」と名の付く通り、心理的社会的なストレスが原因で起きている、例えばストレスが原因で起こっている胃潰瘍など、身体的な症状を取り扱う科、ということのようです。

実際の診療現場では重複している範囲が大きく、心療内科医というのは全国に300人程度と大変数が少ないそうで、精神科医が心療内科の看板を掲げて患者さんを診ていることも多いそうですし、心療内科でうつ病や総合失調症などの精神疾患を診ているケースも多いようです。

なので、まずは自分の生活圏内で通いやすいところであれば、最初はどちらでも構わないかなと思います。

最後に。

カウンセラーとしての勉強をしていると、当然ですがカウンセリングだけではどうにもならない場合というのがたくさんあるということを学びます。

自分の意地や偏見にまどわされれず、必要な方に適切なタイミングで、医療機関への受診を勧めることができるカウンセラーでありたいなと思い、今回はこのようなテーマで書いてみました。

私たちは新しいもの、未知のもの、知らないものに恐怖や不安を覚えます。

何事も、まずは知ること、理解しようと学ぶ姿勢が大切ですね。

「精神科ってちょっと怖いな・・・。」

「カウンセリングなんて私には敷居が高いな・・・。」

そんな風に思っているのであれば、是非、今のうちにもっと色々と調べてみてください。

いよいよ心に余裕がなくなった時には、きっとそんなことを調べることすら出来なくなります。

いざという時にどこに駆け込めばいいか、そしてそれがどういうところなのか、知っておいて損はないと思います。

大丈夫。きっと怖くないですよ。

今日のこの記事が、誰かのいつかにお役に立てると嬉しいです。

神田華子でした。