白黒はっきりさせたいあなたへ・・・「曖昧さ耐性」を高めよう!
あなたは何とも言えない曖昧な状況に身を置かれた時、
自分がどのような態度でいられるか、意識してみたことはあるでしょうか。
「白か黒かはっきりさせたい!」
「グレーゾーンはそわそわしちゃうから、早く決めて!」
このように、何事においても白黒はっきりさせたい性格の人は、決断力もあり好き嫌いもハッキリしている傾向があり、良い面もあると思います。
ただ、世の中には、大なり小なり、どうしてもハッキリとした答えのない曖昧な物事や状況というのが、往々にして存在しています。
心理学の世界では、そうした曖昧な事象に対する個人の態度や考え方を、「曖昧さ耐性」と表現します。
今日は、この「曖昧さ耐性」が高いとどうなるのか、低いとどうなるのか、そして、どうやって「曖昧さ耐性」を高めることができるのか。
そんなお話をしようと思います。
曖昧さ耐性とは?
そもそも、曖昧(あいまい)とは何でしょう。
辞書によると「物事が確実でなく、はっきりしないさま」と出てきます。
それでは、「曖昧さ耐性」とは何でしょうか。
これは、読んで字のごとくですが、
曖昧さに対する耐性のこと、つまり、曖昧な物事や事象にどれだけ耐えられるか、という考え方です。
曖昧さ耐性が低いということは、曖昧な状況に耐えられない、つまり白黒はっきりつけたいタイプと言えます。
逆に、曖昧さ耐性が高いということは、曖昧な状況でも受け入れられる、グレーゾーンでもさほど気にならないタイプということになりますね。
曖昧さ耐性は、高いのと低いのと、どっちがいいの?
もちろん、どちらのタイプにも、良い面と悪い面があります。
例えば、曖昧さ耐性の低い人は、先ほどもお伝えしたように、決断力があり、自分の意思や主張が伝わりやすい、などの長所がある反面、
極端な性格で人間関係にトラブルが起きやすい、決断を急ぎたがるためせっかちになりやすい、0か100かの完璧主義・神経質、などの短所もあります。
曖昧さ耐性が高い人の長所としては、中途半端な状況でも気長に待てる、結論や答えを急がず時間をかけて検討することができる、等がありますが、
逆に、決断力がない、良くない人間関係でもだらだらと続けてしまう、などの短所も持ち合わせています。
何事も、長所と短所というのは裏表ですので、どちらが良いということではありませんが、
多くの研究では、曖昧さ耐性が低い人の方がストレスを感じやすいという結果が出ています。
曖昧さ耐性の低い人にとって、グレーゾーンにとどまる、つまり、曖昧なことを曖昧なままにしておく、ということは、とてもストレスになってしまうことなのですが、
実際には、世の中には曖昧なことだらけだからです。
世界は曖昧なことだらけ。
私たち人間の世界は、とても多くの曖昧なものに囲まれています。
それは、私たち人間が自分の主観でしか世界を見ることが出来ず、そしてその主観というのは不変のものではなく、また、明確に他者と共有できるものではないからです。
歴史や宗教ですら、明確な事実というものは実は存在せず、時代や地域、人によって解釈が違う、曖昧なものです。
例えば、私のテーブルからコップが落ちて割れたとします。その事象は事実です。
でも、それに対し、「不注意で落としてしまった」という私と、「あいつはコップをわざと落とした」と指摘する誰かがいたとすれば、その事象に対する解釈は曖昧なものとなります。
どちらの言い分が正しいかを明確にする術がないからです。
曖昧な物事や事象を、どんなに言語化して見える化しようとしても、結局はもやっと、ぼんやりと、したままなんです。
そもそも人の気持ちとは目に見えない曖昧なものですから、周りからの評価などの人間関係も曖昧なものです。
私たちの世界では、白黒はっきり付けられるもの、0か100かを選べる状態というのは、非常に限られているんですね。
だからルールや法律があるのですが、その中でもまだまだグレーゾーンはたくさん残っていますよね。
曖昧さ耐性を高めよう!
ここまで読んで、「自分は何事にも明確な答えを求めてしまうし、白黒つけたいタイプだから、曖昧さ耐性が低い方だな」と感じられたあなた。
世の中、きっと納得いかないことが多いですよね。
本当にいつもお疲れ様です。
あなた自身のメンタルヘルスを健康に保つためにも、
この記事を読んだことをきっかけに、是非、「曖昧さ耐性」を少しずつ高めていきませんか。
あなたの長所や魅力を生かしたまま、日々感じているストレスを減らすことが、きっとできますよ!
また、「自分は曖昧さ耐性が高い方だな」と思ったあなた。
もしも、だらだらした人間関係や、良くないと思っているのに曖昧な状況に留まり続けているような、別のストレスや不安があるのであれば、耐性が高すぎて麻痺しているのかもしれません。
自分にとってマイナスでしかない中途半端な状況を我慢し続け、他人に流されたり利用されるのでなく、
自分にとって一番気分の良いこと、心がワクワクすること、安心できること、そういった自分自身の心の状態に目を向けて行動する意識を持ってみるのも良いかもしれませんね。
曖昧さ耐性を高めよう!
曖昧さ耐性が程よく高い人は、グレーゾーンでも割り切って、今出来ることに集中して前に進むことが出来ます。
中途半端な状況でもストレスを感じにくいので、心の健康度も高いと言えるでしょう。
曖昧さ耐性を高めたいあなたは、日々の生活の中で、下記のような考え方を意識してくださいね。
そもそも、世の中は曖昧なことだらけ。
先にお伝えしたように、世界は曖昧なことだらけです。
でも、そんな白でも黒でもないところに、儚さや面白さがあったりもするのです。
想像の余地があるからこそ、夢があり希望があるのです。
世の中はグレーゾーンだらけ。
そんな曖昧な世界を、受け入れてみましょう。
本当に白黒つけた方が良いのか考えてみる。
物事を白黒つけると、そわそわして落ち着かなかった自分の気持ちは、その瞬間はスッキリするかもしれません。
でも、その結果が本当にあなたにとって良いことなのか、しっかり考えて見ましょう。
例えば、少し冷たくされた友達に対し、「彼女は私のこと嫌いなのかな。きっと嫌いなんだ。いや、そうに決まってる!」と結論を焦り、関係を絶ったとします。
でも、本当はその時彼女は自分自身の問題を抱え、あなたに優しくする余裕がなかっただけかもしれませんし、体調が悪かったのかもしれません。
異性同士でも、「友達以上恋人未満」という状態はよくありますよね。
人の気持ちというのは日々変化し、未確定で揺れ動くものですから、
一時の感情をもとに白黒つけることを焦ってしまうと、後悔してしまうこともあるかもしれません。
本当にハッキリさせた方がいいのか、そのタイミングは今なのか、冷静に考えてみましょう。
断定的な言葉遣いを避ける。
あなたが断定的な言葉遣いをすることで、自分自身の思考の融通さを奪ってしまいます。
「絶対に~だ」
「100%~だ」
「いつも~だ」
「~に決まってる」
このような表現が多い人は、そういう表現をやめてみるだけでも変わってきます。
物事にはいろいろな可能性があるということを常に意識して、
下記のような表現を心掛けてみましょう。
「きっと~だろう」
「~かもしれない」
「~の可能性もある」
「今は~だと思う」
こんな曖昧な表現は嫌い・・・と思われるかもしれませんが、あえて使ってみましょう。
大丈夫です!きっと慣れますから!
まずは自分の断定的な口癖を意識して、少しずつ減らしてみましょう。
自分が正しいという思い込みを手放す。
自分が正しいんだという思いは、すべてを把握したい、自分の意見が受け入れられるべきだと信じ、曖昧な状況や、分からないという状況に不安を感じてしまいがちです。
また、自分が正しいという思い込みが強いと、世界への見方を変えることが難しくなります。
世の中にはいろんな人がいて、いろんな見え方があり、いろいろな正解があるということ、そして、自分にはすべてを正しく解釈することは出来ない、ということを受け入れましょう。
じっくり考える。
解釈が極端になると精神面でも不安定になりがちです。
すぐに結論を出すのではなく、ゆっくり時間をかけてみる、一旦保留にすることなどに、少しずつ慣れていくことが大切です。
特に感情的になっているときほど焦って何らかの答えを出そうとしてしまいますが、
感情的になっている時に結論を出すことほど危険なことはありません。
一晩だけでもいいので冷静になってじっくり考える、一歩だけでもいいので立ち止まって考える、そうして少しずつ、グレーゾーンで考える時間に慣れていきましょう。
最後に。
今日は「曖昧さ耐性」についてお話しましたが、いかがだったでしょうか。
私はかつては、曖昧さ耐性が低い方だったと思います。
グレーゾーンにいるのが本当に苦手で、曖昧なことは自分から向かっていってハッキリさせる、
ハッキリできないことはストレスになるので見切りをつけて去る、そんなタイプでした。
「なんだかよく分からない」という状況にとてつもない焦りや不安を感じ、結論を急いで後悔したことが何度もありました。
でも、年を取るにつれ色々な出会いを経験し、様々な世界を見ることで、世の中には明確な答えが出せないことがたくさんある、どちらかハッキリさせない方が良いこともある、ということを学びました。
そうして、意識をしてグレーゾーンにいることに慣れる、結論を急いで出すのを待つ、保留にする、という機会を、小さなことからでもいいので増やしていくと、本当に少しずつ慣れていきます。
そして、そうすることで本当にストレスは大きく減ります!
これは、元・白黒思考の私が断言しますよ。
曖昧なことやどうしようもないことは、すぐに結論を出すのではなくわきに置いて待つ。
無視したり諦めるのではなく、そのままの状態で、心の隅に置いておく。
そうすることで、じゃあ今、具体的に自分には何が出来るのかということを考え、行動できるようになるのです。
一人でも多くの人が、少しずつそういった体験や実感を通して、曖昧な世界を曖昧なまま受け入れ、楽しみ、進んでいけるようになればいいなと思っています。
そんな曖昧な世界に、今日も飛び込んでいくあなたの気持ちが、少しでも軽くなりますように。
それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました!
神田華子でした。