親子関係の三角形の話と、子供に配偶者の悪口を言わないでという話
今日は、夫婦間で子供への関わり方や方針に、意見の相違がある場合の考え方についてお伝えします。
夫婦間で教育方針やお子さんに関する意見が合わずに悩んでいる。
何度言ってもパートナーさんがお子さんへの態度を改めてくれずに不満が溜まっている。
そんな方に読んでいただきたいなと思います。
夫婦間のひずみが与える影響はどこへ?
夫婦というのは元々は全く違うバックグラウンドを持った他人ですから
子供との関り方や声掛け、優先順位の付け方、教育方針に至るまで
意見が食い違うことというのは、よくあります。
これを読んでくださっている方の中でも、
パートナーさんとお子さんとの関わり方について、
大なり小なり、意見が合わないということもあるのではないでしょうか。
そんな時、パートナーさんと子供の教育方針について躍起になって話し合ったり、
どちらが正しいかを証明し合うように口論になってしまったり、していませんか?
ご家庭によっては、それが大きな夫婦間の問題となって
夫婦関係を悪化させるきっかけになっていることがあります。
そのことで双方が強いストレスを感じていたり、
どちらかが一方的に自分を無理に抑圧している・・・
そのような夫婦関係のひずみは、
家庭内で一番立場の弱いところに影響を与えてしまいます。
それが、お子さんです。
子供のためを思うからこそムキになり、
相手を変えようと必死になり向き合おうとして
うまくいかずに関係がこじれ、家庭内の空気が悪くなる。
お子さんへの愛情が発端となっているはずなのにも関わらず、
それによる悪い影響がお子さん自身にいってしまうというのは、
出来るだけ避けたいですよね。
夫婦間で意見が分かれること自体は自然なこと
夫婦間で子育てに関する価値観や考え、意見が異なることはよくあることで、自然なことです。
それぞれ違う家庭環境で育ってきたのですし、
具体的な関わり方については、育児書に書いてあるような理想的なコミュニケーションばかり
日頃から取れるお父さんお母さんばかりでは無いと思います。
結婚前に子供の教育方針について真剣に語り合うカップルは多くはないと思いますが
仮に、どんなに事前に認識をすり合わせていたとしても、
思い通りにいかないのが人間であり、子供であり、子育てなのです。
気持ちの変化や産後のホルモン変化、
仕事の状況や経済的な余裕、はたまた時代の変化など、
様々な要素によって、価値観や意識というのは、絶えず変化していくものなのです。
目指す方向性は同じでも、そこにたどり着くまでの道のりは無数にありますから
夫婦間で意見がまったく分かれないということは、逆に珍しいことだと思います。
「家族であっても夫婦であっても、意見が違うのは当たり前。違う人間なんだから、そりゃそうだ。」
まずは、その前提意識をしっかりと持ってください。
夫婦だから、親だからという理由だけで、
相手が自分と同じように考えるべき、という根拠はどこにもないのです。
そして、この「違う」というのは、決して悪いことではないのです。
親子関係の三角形の話
ここからが本題です。
ご夫婦間で、パートナーさんの子供への接し方や教育方針に
どうしても納得できなくてストレスになっているという場合、
親子関係を三角形で考えると良いでしょう。
三角形の三点は、あなたと、パートナーさんと、お子さんです。
お子さんが複数いる場合は、それぞれの三角形で考えてください。
あなたが直接、線で繋がっているのは、
パートナーさんと、お子さんの2人だけです。
パートナーさんとお子さんの2人を繋いでいる直線に、あなたは入ることは出来ません。
つまり、あなたが関われるもの、あなたの領域であるのは、
あなたがパートナーさんに対する接し方と、
あなたがお子さんに対する接し方、この二種類だけなんです。
パートナーさんがお子さんに対して、またはお子さんがパートナーさんに対して
どのように接するかということに関しては、
あなたが、そのそれぞれと直接関わっていくということ以外は、
コントロール出来ない領域なのです。
自分は自分なりに思いを伝える
その上で、あちら側にある線、あなたにコントロール出来ない領域の線が
あなたの理想通りでは無いとしても、
それに対してあなたがどう感じ、どう思うか、それは伝えることは出来ます。
お父さんとお母さんは、それぞれ別の個人であり、違う人間です。
そして、お子さんもまた、別の個人であり、お父さんともお母さんとも違うひとりの人間です。
そのそれぞれが家族という枠組みの中で共に生活をしたり何かを目指す中で、
意見が合わないこと、口論や対立関係が生まれてしまうこともあるかもしれません。
でも、それはごく普通なことで、非常に現実的な家族のあり方なのです。
それを、無理に抑圧したりする必要はありません。
もちろん、お子さんの前でいくらでもパートナーさんと喧嘩してください、というわけではありません。
それによるマイナスな影響は考慮した方が良いでしょう。
でも、喧嘩や口論した姿を見せてしまったとしても、
そこから、関係を修復していく過程を見せることでも、お子さんは敏感に学び取っていきます。
そして、例えばですが、
「お母さんは、お父さんのこんな所とは意見が合わないけれど、
お母さんはお父さんのことが大好きだし、とっても尊敬しているんだよ。
あなたも、お母さんやお父さんが間違っているなと思うことがあったら、
ちゃんと言ってね、教えてね。」
という風に、違う人間同士であることを前提として、
その上で相手を尊敬したり尊重したり、
意見が合わないところを指摘し合ったりできる関係性というのを
大人も子供も、対等に作っていけることが理想なのではないでしょうか。
大好きな人であっても、意見が合わないこともあれば、
ここは好きではないという欠点もある。
でも、それはそれで、相手を否定しているわけでも無い、
それをふまえて相手を受け入れているんだよ、
という人間関係を示すことにもなるんです。
それこそが、現実的な夫婦間、親子間、人間関係の在り方なのではないでしょうか。
あなたがコントロールできる領域はどこなのか。
自分の領域ではないところに踏み込んだとき、自分や相手がどう感じ、
家庭内がどのような雰囲気になってしまっているか。
一度、しっかりと考えてみた上で、
自分は、自分の領域内で、自分なりの愛情や思いやり、価値観を伝えていく。
それで良いし、それしか出来ないんですね。
それが、私たちが取れ得る最善でありベストを尽くすということになるんです。
絶対にしないでほしいこと。
親子間を繋いでいる線というのは、とても太く強力な線です。
親から子に与える影響というのは、とても大きいということです。
今日のお話の補足として、絶対にしないでほしいことをお伝えさせてください。
それは、陰で、一方的にパートナーさんの悪口をお子さんに言わないで、ということです。
夫婦として生活をしていれば、心の底から腹が立ったり相手のことが嫌になったり、
愚痴や悪口を言いたくなることもあるかもしれません。
でも、それは、自分のお子さんにではなく、
言うとしたら、あなたと対等な大人である、お友達や、
場合によっては自分のご両親やご兄弟、
カウンセラーやネットの愚痴聞きさんに、吐き出してください。
お子さんにだけは、言わないでほしいんです。
お子さんは、お父さんとお母さんが大好きなんです。
だって、お父さんとお母さんの遺伝子を半分ずつ受け取った
いわば、50%ずつの分身なんですよ。
どっちの味方も、本当はしたくないんです。
でも、陰で一方的な悪口を言われてしまうと、
大好きなお母さんを傷つけている悪いお父さん、(またはその逆)
というストーリーを信じ込んでしまったり、
お父さんも大好きだけど、お母さんの味方をしてあげないと収まらないな、など
子供なりに葛藤して、どうして良いのか分からなくなってしまうんです。
そして、そのお父さんお母さんから生まれた自分の人格や存在をも否定してしまう、
という自己否定や自己肯定感の低さにもつながってしまいます。
その影響は、幼少期だけでなく、大人になってからもずっとお子さんを
苦しめてしまう原因になってしまうのです。
今まで言っちゃってたよ、、、という人は、今日から是非やめてください。
やめたら自分のストレスが溜まっちゃうよ!という方は、
私に連絡してください。精一杯、お話を伺います。
最後に。
家族に対してというのは、誰しも甘えが出てしまうものです。
どうしても、自分の思うとおりに相手をコントロールしたいと思ってしまうのです。
意識していても、していなくても。
関係性が近いからこそ、自他の境界線が曖昧になってしまいがちなんですね。
しかし、自分自身以外は、どんなに大好きな家族であっても他人なのです。
自分と他人の領域をしっかりと意識する、
そして自分が影響できる範囲、コントロール可能な領域、
親子関係であれば、三角形の直接線で繋がっている部分だけで
自分の思いを伝えていく。
それしか出来ないんです。
そう考えると、少しだけ、気が楽になるのではないでしょうか。
執着を手放すというのは簡単なことではありません。
これまでの実体験からくる価値観や、理想や信念があってのことですから。
でも、
「他人の領域に踏み入るのをやめると、自分はどんな気持ちになるか?」
「相手にどんな気持ち・態度でいられるか?」
「そうすると、自分を取り巻く相手や周りの雰囲気がどうなるか?」
そう考えた時に、あなたがそれを選択することが出来るという
その強さが自分自身の中にあることを、思い出せるのではないでしょうか。
今日もあなたが、自分で自分にとって良いと思える選択を、1つでも多くできますように。
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
神田華子でした。