秋や冬に体調が悪くなる、それって冬季うつ?原因と対策は??

毎年秋になると体調が悪くて色んなことが出来なくなる、

あなたの周りにもそんな風に言っている方はいませんか?

実は、そんな方って意外と多いんです。

または、そう言われてみると自分もそうかも、なんて思い当たる方は

是非、今日の記事を参考にしてみてくださいね。

冬季うつとは? 季節性感情障害(SAD)

冬季うつとは、秋口から冬にかけて体調不良を起こし、

春になると回復するというもので、

正式には「季節性感情障害/Seasonal Affective Disorder (SAD)」という病気です。

「季節性」と名の付く通り、冬だけに限った疾患ではないものの、

多くの方が冬に症状が出ているため、「冬季うつ」と呼ばれることが多く、

他にも「季節性うつ」や「ウィンターブルー」、

また、秋口に始まることから、「落ち葉症候群/falling leaves syndrome」という

ロマンチックな別名もつけられています。

通常のうつ病とは違い、季節性のものであるのが特徴です。

季節の移り変わりが人間の気分そして体調に影響を及ぼすということは、

実は何千年も前から知られていたことなのですが、

アメリカの精神科医のノーマン・ローゼンタールらにより初めてこの疾患が報告されたのは

なんと1984年ということで、「冬季うつ」というのは、比較的新しい概念とも言えるかもしれません。

冬季うつは珍しい病気ではない

季節の変わり目は体調を崩しやすくなるというのは、地域や人種に限らず、よく耳にする話ですが、

冬季うつという疾患も、海外(特に北国)で、「Winter Depression」として多く見られるものです。

性格や気質は関係ないとされていますが、

「光に対する感受性が強い」という体質に関わっているとされており、

ホルモンの関係で気候の変化の影響を受けやすい20~30代の女性に多いのも特徴です。

世界中のたくさんの人が悩み苦しんでいる病気ですので、

珍しい病気ではないですし、気のせいでもないですし、

あなたがおかしいわけでは決してないので、安心してくださいね。

冬季うつの症状は?

気持ちの落ち込み、強い倦怠感や疲労感、

寝ても寝ても眠いという過眠、

食欲が異様に高まる過食や暴食という症状が多いとされています。

もちろん、眠れない、食欲がないという方もいらっしゃいますし、

みぞおちのあたりが重くて動けないと訴える方もいます。

原因不明の体調不良で、様々な日常生活の困りごとが起こりますが、

症状の出方や程度は人それぞれで、

中には日常生活に支障をきたすレベルの人もいます。

冬季うつの診断基準は?

毎年、秋口に体調が悪化し、春になると回復するという状態が

2年以上続いていると、冬季うつだと診断されるようです。

毎年秋口から冬にかけて体調が悪くなるというのを繰り返しており、

それが日常生活に支障をきたすほどのレベルであるのであれば

一度病因への受診を検討されるといいかもしれません。

周囲から理解されないのも冬季うつの辛さ!

お天気の悪い日や寒い日に気分が落ち込んだり、やる気がなくなったりするというのは、

程度の差こそあれ誰でも感じることであるからこそ、

冬季うつというのは周囲からの理解が得られにくいものです。

「寒いからってサボってるだけなんじゃないの」

「気持ちの問題なんだから甘えるな」

そんな風に言われて、悔しかったり落ち込んだ経験のある方も多いかもしれません。

服薬や漢方やお灸や整体、色んなことを試しても体調不良の症状が改善されないのに

周りからも怠けているように思われてしまうのは、本当に辛いですよね。

まずは自分の症状について学んでみよう!

春になれば改善されると分かっているといっても、

毎年繰り返されることで活動が制限されてしまうと、

1年のおよそ半分も、よく分からないまま気分が落ち込んで、

体調も悪い状態で過ごすことになってしまいます。

出来ることならこんな症状とはきれいさっぱりサヨナラしたいところですが、

体質そして季節性のものであるが故に、完全に症状をなくすというのは難しいものです。

うまく症状を緩和させたり、気分の落ち込みから自己否定をしないためにも、

まずは「自分は冬季うつなのかもしれない」と思ったら、

その原因と対策を学んで、症状とうまく付き合い、辛い季節を乗り越えていけるようにしましょう。

冬季うつの原因は、セロトニン不足!

冬季うつの原因の多くはセロトニン不足が原因とされています。

冬になると日照時間が減り、寒いからと室内で過ごすことが多くなるので、

セロトニン分泌量が春や夏に比べて大幅に減少してしまいます。

そのことが、冬季うつの症状を引き起こしてしまうと考えられています。

セロトニンの分泌量とうつ症状、どういう関係があるのでしょうか?

セロトニンの働きとは?

幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンは、

気分を安定させてたり、ストレス耐性を高める働きを持つ脳内物質です。

自律神経を整えて心の調子を整えてくれる、非常に大切な役割を果たしています。

朝分泌されて夜になると減少しますが、

セロトニンがしっかり分泌されていると、

1日中、身体も心も安定した状態で過ごせるのです。

反対に、セロトニンが不足すると、ストレスや疲労を感じやすくなり、

イライラしやすく、あらゆることに対する意欲が減少してしまいます。

気分の切り替えもうまくいかず、落ち込んだ気分が続きやすくなってしまうのです。

セロトニン不足が睡眠不足を引き起こすメカニズムとは?

セロトニンが不足することで睡眠の質にも影響すると言われています。

起床後14,5時間程度で、メラトニンという睡眠に関わるホルモンが分泌されることで

眠気を促したり、睡眠の質を上げてくれるとされていますが

実はこのメラトニンのもとになるのがセロトニンなのです。

朝から分泌が始まるセロトニンは、夕方になるとその分泌量が減少し、メラトニンに変わっていきますので、

セロトニンの分泌が少なくなるとメラトニンも少なくなり、快眠を妨げる結果となってしまいます。

このように、セロトニン不足は、睡眠の質まで下がってしまう悪循環を引き起こしてしまうのです。

セロトニンを増やすには日光浴と朝の散歩!

幸せホルモンと呼ばれるほど、存在自体が頼もしい上に、

うつ症状の時に心掛けてほしい睡眠までをもつかさどるセロトニン、

増やすための方法をしっかりと日頃から意識しておきましょう。

セロトニンを増やすために、まず覚えておいてほしいのは日光です。

毎日、朝になったら日光浴をしましょう。

リズム運動や咀嚼でもセロトニンは分泌されると言われているので、

可能であれば朝日を浴びながらの散歩や軽いジョギング、

そしてしっかりと噛んで食事をとることも心掛けましょう。

セロトニンを増やす栄養素

セロトニンを増やす栄養素なども調べると色々出てきますが、

「セロトニンには、とりあえずバナナ」と覚えましょう。

セロトニンの材料となる必須アミノ酸「トリプトファン」が多く含まれています。

比較的、入手しやすく好き嫌いが少ないと思われる食べ物でよかったですね。(笑)

人工日光浴!光療法LEDライト

とはいえ冬は日照時間が短く、お天気の悪い日はなかなか外にも出られませんよね。

そんな方のために、ご自宅で簡単に日光浴ができる、光療法のためのライトボックスも発売されています。

明るさのモードが切り替えられたり、タイマーが付いていたりと、色々な製品がありますので、

「光療法 ライト」などで、検索してみると良いと思います。

日焼けサロンのように全身すっぽりと入るものではなく

スタンド型のタブレットのようなもので、横から照らしたりして光が視界に入る状態で他の作業が出来るので、

朝のコーヒーを飲みながらやメイクをしながらライトを浴びるという形で、気軽に取り入れられそうですね。

朝の光を人工的に浴びることで、目もすっきりと覚めそうです。

ストレッチや栄養療法も

寝る前の簡単なストレッチで血行も良くなり、寝つきもよくなります。

出来れば朝も簡単なストレッチが出来ると良いですね。


血糖値を上げるために朝食を摂ることも大切ですので、

先ほどお伝えした「とりあえずバナナ」で良いでしょう。

栄養素的には乳製品+炭水化物の組み合わせも良いとされていますので

バナナ+チーズパン+ミルクったっぷりのカフェラテなんて、とっても簡単な食事ですね。

毎日バナナは飽きる、という方は、簡単なものを夜のうちに準備しておきましょう。

朝は特にやる気が出ないので、出来るだけ必要な作業を減らすことです。


料理自体も、良い刺激になりますので、

新しい朝食メニューを調べてみたり、夜のうちに作って置いておけるレシピに新たに挑戦してみるのも良いと思います。

完璧を目指さなくていい

「セロトニンを出すために朝散歩しなければ」と真面目に考えすぎると

それ自体がストレスになってしまったり、朝起きられない自分を責めたりしてしまいます。

誰だって、寒いと引きこもりがちになります。

どうしても外に出たくない日は、せめてカーテンを開けて日の光を浴びましょう。

窓越しや雨や曇りの日でも、日光浴によるセロトニン分泌効果は実証されています。


朝日を浴びながらランニングや散歩ができればベスト、

公園など屋外でぼーっと太陽の光を浴びる時間を見つけましょう。

(といっても冬は外でじっとしていると寒いので、動いた方が気持ちが良いとは思いますが・・・)

それも出来ずに屋内で過ごすのであれば、できるだけ窓際で過ごすことを心掛けましょう。

栄養療法など確かに効果はありますが、症状を劇的に改善してくれるものではありません。

治すのではなく症状を緩和しつつうまく付き合っていくための方法として

自分に出来ることを出来るときに取り入れて、

調子が少しでも良くなれば続けてみましょう。

焦らない。責めない。衝動的な行動に注意。

冬季うつは春になると症状が改善されて元気になります。

秋になって体調不良が始まり、冬になって絶望の真っただ中のような気分になっても、

必ず抜けると信じて、自分は冬眠中なんだと思ってやりすごしましょう。


まずは朝になったらカーテンを開けることから始めましょう。


窓辺でぼーっとすることしか出来なくても、

朝日を浴びようとしているだけでも立派なことです。

また、気分の波が激しい時期でもあるので、

人間関係などで衝動的な行動を取りそうになった時には

「そういえば今は冬だな」

「冬の私は正常な状態じゃないんだな」と、一呼吸置きましょう。

感情的になっている時に出す結論というのは後悔しがちです。

結論を出さなくて良いものは、グレーゾーンのまま置いておく勇気も大切です。


冬季うつの間に色々なものを失ってしまってはもったいないので、


自分は今は感情的になりやすい時期なんだと理解した上で、

そんな自分を許しながら、日々を過ごしましょう。

最後に。

体調の悪さや心の不調というのは、数値で客観的に測れない分、

自分の経験を基準に考えることしかできないので、

冬季うつを理解できない側の方々の気持ちも分かります。

私も、カウンセラーの勉強を始めて様々な精神疾患についての理解を進めるまでは、

「病は気からというし、この時期にはいつも体調が悪い、悪いと思って過ごすから、いつまでたっても良くならないんじゃないの?」

なんて思ったこともありました。

なので、実際に冬季うつで困っている人に出会ったり、

このように学びを通して理解を深められてよかったと思います。

でも、いつも思うのは、だからといって諦めないでほしいということです。

人生は1度きり。

自分に与えられた命は1つだけです。

どのように生きても、1回だけなのです。

もしかしてあなたは、生まれつき身体が弱い、生まれつき刺激に敏感、

そういった特性を持って生まれてきたかもしれません。

でも、そのことを嘆いても、周りが理解してくれないことに怒っても、

自分は〇〇だからXXできないと投げやりに過ごしても

その人生を生きているのはあなただけなんです。

毎日の選択の結果を受け入れるのは、あなただけなんです。

生まれつきの体質や養育環境は、あなたが選択できなかったかもしれない。

でも、「今ここ」から先の未来はすべて、あなたが自分で選ぶことができるものです。

これまでそうだったからと、過去だけを見て未来を諦めてほしくない。

今よりきっと生きやすい日が待ってると信じて、

出来ることを続けて欲しいなと思いますし、

出来ない自分を責めずに、目の前にある小さな喜びや幸せを

感じながら日々を過ごしてほしいと思います。

もうすぐ春ですからね。

春になったらまた、気持ち良い風をあびて、あたたかい光の中、

「今年の冬もよく頑張ったな」と、自分を抱きしめてあげてくださいね。

神田華子でした。

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