海外生活がストレス?!メンタル不調になりやすい原因と対処法とは?

海外生活でメンタル不調になってしまう人というのは、実は少なくありません。

もちろん、人それぞれ元々の性格や価値観も違えば、

生活している国や環境によっても全く状況は異なるのですが、

ストレスとなる原因として共通するものは、いくつかあります。

今日は、海外生活でストレスを感じやすい一般的に共通する原因と、

海外で生活する中で、メンタルの不調を感じ始めた時に出来ることをご紹介します。

海外でストレスとなる原因や対処法をあらかじめ知っておくことで、

海外生活に過度な期待をしたりすることもなく受け入れられたり、

または、まさに今現在、海外での生活に不満やストレスを感じてらっしゃる方も、

「誰もが通る道なんだ」と安心して自分の不調と向き合えるかもしれません。

また、自分のストレスの原因が何なのか、具体的に考えるキッカケになれると嬉しいです。

それでは早速一緒に勉強していきましょう!

人間は変化を嫌うもの。

まずそもそも、多くの人間は程度の差こそはあれ変化に対して敏感で、

発展や成長を望む反面、今のままでいたいという変化を恐れる気持ちも持ち合わせています。

変化や新しい世界への冒険を拒む傾向というのは、大人になるほど強くなってしまいます。

年齢を重ねるごとに、守りに入ってしまいやすい、という感じですね。

海外への移住に伴う環境の大きな変化により、

これまで当たり前にあったものが無くなってしまったり、変化してしまうというのは、

多くの人にとっては、そもそも精神的負担が大変大きいものなのです。

これは、その海外生活を本人が望んで始めたものだとしても、同じように起こります。

海外でのメンタル不調は1年以内に起きやすい!

海外に渡ってすぐの頃は、今までとは違う新しい環境で新鮮なことばかりに遭遇し、

刺激や興奮が大きいため、嫌な面が目に入らず、不快感をあまり感じません。

この時期を「ハネムーン期」と呼び、人にもよりますが数週間~3か月程度、続くとされています。

そして、この時期を過ぎると、

「なんだかこれって変じゃない?」

「日本だったらアリエナイ・・・」

「どうしてこんなことするんだろう・・・」と、

嫌な面がよく目に入るようになったり、

日本とは違う環境や自分と違う価値観や習慣を受け入れられずに、

カルチャーショックに大きなストレスを感じる「不適応期」に入ります。

この「不適応期」は渡航後3か月~18か月くらいで起こることが多いとされていますが、

この時期を過ぎると「回復期」に入り、

新しい環境や異文化をポジティブに受け入れられるようになったり、自信や元気を取り戻し、徐々に適応していきます。

海外生活でメンタルの不調が出やすいのは、渡航後1年以内が一番多いと言われていますが、

それはこのように、ハネムーン期が終わり、自分がこれまで当たり前に持っていたものを失っていることに気付き、

生活には慣れて来たものの新しい環境に適応できずに、イライラ・モヤモヤが増す時期だからなのです。

海外生活がストレスになってしまう原因とは?

さて、それでは早速どのようなことがストレスの原因となるのか、具体的に見ていきましょう。

1. 言葉の壁

まず第一に、言葉の問題です。

日本では日本語を使って、自分の気持ちや要求を相手に伝えられたり、相手の言っていることを簡単に理解できていたことが、

海外で外国語を使っての生活となると、そう簡単にはいきません。

言いたいことをうまく伝えられないという悔しさ、不便さ、不都合さに加え、

相手の言うことが理解できずに、あきれられていたり馬鹿にされているようにも感じ、

落ち込んだり、腹が立ったりします。

周りのみんなは楽しそうに笑っているのに、

自分だけ話に着いていけずに寂しく感じたり気まずい思いをしたり、

お互いに勘違いをしたまま物事が進んで、思わぬトラブルに発展したりします。

また、言葉の問題でコミュニケーションが取れていないにも関わらず、

相手が嘘をついていると思ったり、相手から誤解されることもあります。

日本では当たり前に出来ていたコミュニケーションが取れなくなることは

日々ボディブローのように、不満や不安、失望感や焦燥感を積み上げることになるのです。

2. 文化や習慣の違い

その次に、文化や習慣の違いも大きなストレスになります。

日本では列に並ぶのは当たり前だったのに、平気で順番を抜かされる。

ごみをどこにでもポイ捨てする。

時間や期限を守らない。

土足で部屋に入る。

スーパーでお会計前に袋を開けて商品を食べている。

例を挙げるときりがありませんが、日本の常識は世界の常識ではありません。

頭では分かっていても、これまで慣れ親しんできた文化や習慣がまったく受け入れられない状況や、

自分の中では当たり前で大切にしていた価値観がまったく通用しない相手に対し、

大きなストレスを感じることは珍しくありません。

3. 狭い人間関係

これは意外かもしれませんが、海外での狭い人間関係がストレスになることも多いです。

日本で慣れ親しんだ人たちから離れて、

新たな人間関係を構築すること自体の困難さやストレスももちろんですが、

海外での日本人コミュニティというのは、住んでいる国や都市によりますが、

非常に狭いことが多いのです。

日本語圏であれば、大体誰かしらを通して繋がっている、といっても大げさでないほどです。

特に最初のうちはやはり、言葉が通じる同じ日本人を頼りにしたり、仲良くなりたいと思ってしまうものですが

そんな狭い人間関係で自分に合う人が必ずしも見つかるとは限らず、孤独を感じてしまったり、

または、コミュニティが小さいからこそ常に監視されているような気分になったり、

どうしても合わない人がいると大きなストレスになったりします。

本来、人付き合いというのは自分で選択が可能なものなのですが、

海外という特殊で不便な環境下で、「日本人」という共通点で繋がっていて、

実際に協力やサポートし合って生活しているケースも多いため、

「仲良くしなければ」と過度に気を遣ってしまったり、

「逃げられない・避けられない」と錯覚してしまい、

気付かないうちにストレスを溜め込んでしまいます。

4. 食生活や生活環境

住んでいる国にもよりますが、食生活や住環境・生活環境の違いも大きなストレスになります。

暑すぎたり寒すぎたり雨が多かったりといった気候の違いや、

治安・衛生面の違いも大きく、日本の四季や、安全で衛生的な環境を懐かしむことで、

今の環境の悪い面ばかりに目を向けてしまい、ますます受け入れられないようになってしまいます。

例えば、日本やアジアの食材が手に入りにくい環境であったり、

自炊をするスキルも時間も無いのに外食ができない環境であったり、

治安や交通状態が悪く自分で自由に移動ができない状況であったり、

日本で楽しんでいた趣味が実現不可能な環境であったりと、

そういった、これまでとは違う制限された生活環境に、大きな不便さや不満、ストレスを感じてしまいます。

5. 仕事のプレッシャー

多くのケースでは、海外では日本人が少ない職場で責任の範囲も広く、

これまで経験したことのない業務を任されたり、

若手であっても現地スタッフを管理する立場になることも珍しくありません。

特に本社から派遣された駐在員や赴任者であれば、

期待と責任の大きさから過労に陥りやすく、

期待に応えられなかったり結果を残せなければ自信を失ってしまったりと、

身体的・精神的な負担が過度に大きくなりがちです。

また、上に書いたこととも重複しますが、

言葉の問題で現地スタッフとのコミュニケーションがうまく取れなかったり、

社内での数少ない日本人の中で孤立してしまうと逃げ場がなく、

ストレス発散となるような趣味に打ち込める環境もなく、

人によっては家族と離れて孤独な単身生活で、食生活も乱れてしまいます。

そういった様々な要因が組み合わさって、メンタルの不調となることは、まったく驚くことではないと思います。

6. 理想とのギャップ

これは渡航前にポジティブなイメージが大きかった場合に起こることですが、

理想と現実のギャップが大きいと、当然ですが失望感が大きくなります。

例えば、「海外にいけば自由な人間関係で大自然の中でのびのび生活できる!」と期待に胸を膨らませていたとします。

しかし、実際には狭い日本人コミュニティの中でのいがみ合いや派閥に悩み、広すぎて車がないとどこにも行けず、

言葉の問題で現地の友達もあまりできず、食べ物も口に合わずに、孤独を感じて苦しく辛い毎日だったとします。

「こんなはずじゃなかった・・・」

「もっと楽しいものだと思ってた・・・」

「すぐに友達がたくさん出来ると思ってた・・・」

と、想像していた理想的な状況とはまったく違う現実に、失望してしまいます。

しかし、自分で希望した状況であったり、楽しみにしていたからこそ

そんな現実をなかなか直視することが出来ず、周りにも打ち明けられずに、溜め込んでしまうこともあり、

そうすることでストレスが蓄積してしまい、海外生活続行不可能な状態にまで陥ってしまうことも多いのです。

対処法は?無いものばかりに目を向けないこと!

個々の状況によって対処法はもちろん変わってくるのですが、

共通する対処法というものがあります。

それはズバリ、「今ここには無いもの」「今ここにはいない人々」ばかりに目を向けない、ということです。

多くの人は、自分が具体的に何にストレスを感じているのか深く掘り下げないまま

イライラやモヤモヤ、身体の不調に蓋をして、無理を続けてしまいます。

海外生活でのストレスを掘り下げると、

必ずといっていいほど、「日本と比較して足りないもの・無いもの」が出てきますが、

「今ここに無いもの」に目を向けることは、

大きな悲しみや痛みを感じる行為で、今いる環境へのより大きな不満や失望、絶望感を引き起こします。

・すべてを日本と比べてしまって、日本の方が優れていると感じる。

・日本ではあんなことが出来たのに。こんな趣味があったのに。

・日本では家族や友人にいつでも会えていたのに。

・日本のコンビニは便利だった。

・日本の道路は綺麗だった。

・日本では水は無料で飲めたのに。

・日本のサービスは最高だったのに、こっちはなんてぶっきらぼうなんだ・・・。

このように、今の環境には無いものや、変わってしまったものばかり見つめていると、

心はどんどん傷付き、落ち込んでいってしまい、今の環境がますます嫌になってしまいます。

「今ここにあるもの」「ここで会うことが出来る人」に、もっと目を向け、大切にして、育みましょう。

視点を変えてみよう!

「〇〇は無いけど、△△はある。」と、

今の環境ならではの良い面に目を向けたり、

「XXよりはマシかも」と、今よりももっと悪い環境と比較したり、

「時間にルーズな分、こちらも気楽でいいや」と、

物事の悪い面を裏返して、そのメリットも意識するように心がけましょう。

そうすることで少しずつ、今まで気付けなかった今の環境の良さに気付けたり、

「これはこれでいいかも」と、現在の環境や価値観を受容する気持ちが芽生えてきます。

このように、言葉遣いをポジティブにしたり、物事を多面的に見ることを「リフレーミング」と言いますが、

こちらの記事で詳しくご紹介していますので、未読の方は是非ご一読ください。

不調を感じたら、悪化する前に相談しましょう!

このように、海外にいると様々な要因が組み合わさって、

不安、不満、自己嫌悪、不信感、怒りといった、マイナスな感情が生まれ、蓄積されます。

そうした感情をうまく吐き出したり発散できず、逃げられない・変えられないと感じる環境で、

一人では視野が狭くなってしまい、上記のようなメリットや良い面にも気付けないことがあります。

そんな時は、職場の上司に相談したり、友達や家族に話を聞いてもらうのもいいですが、

それでも状況が改善されない、気分が晴れないようであれば、

プロのカウンセリングサービスを使うということも検討してください。

というのも、海外生活で無理をすると、

すぐに適切な医療機関に受診できなかったり、保険がきかずに大変高額だったり、

生活すらもままならなくなり心身ともにボロボロになっての帰国となってしまうと

今よりもっと自信を喪失してしまったり、信頼を失ってしまったり、自分を否定したり後悔する結果となってしまうことが多いため、

出来れば、悪化する前に対処してほしいなと思います。

職場やお住いの地域で、そういった日本語で受けられるカウンセリングサービスがある場合はそういったものを利用すると良いと思いますが、

身近に見つからない場合でも、オンラインでのカウンセリングサービスも増えていますので、是非色々と探してみてくださいね。

海外生活や異文化専門のカウンセラーもいますので、あなたのお悩みを親身になって聞いてくれるカウンセラーさんが、きっと見つかると思います。

本当に悪くなってから治そうと思うと何年もかかりますし、

うつ病というのは再発率も高く、完治を目指すのは難しいものです。

悪化を予防するという意識で、「メンタルやばいかも」「だいぶしんどいかも」と感じたら、

限界を感じる前に、すぐにどこかに相談することを検討してくださいね。

うつ病の兆候については、こちらの記事もご参考ください。

最後に。

私自身も、過去にカナダ、アメリカ、中国での滞在経験があり、

現在も、アジアのとある発展途上国に住んでいます。

過去から現在に至るまで、海外生活に馴染めずに、またはそれ以外の理由で、

心を病んでしまう方とお話する機会も、少なくありません。

せっかく海外で生活するという機会を得たのであれば、

それが望んだものであれ望まなかったものであれ、

少しでも充実した楽しいものになってほしいと心から応援していますし、

少なくとも、ストレスでうつ病になったり、心身共にボロボロになってしまうという事態は避けて欲しいと、心から願っています。

今この状態の自分での海外生活というのは、一生に一度しかない経験です。

今日の記事が、あなたがそんな貴重な経験を自分らしく乗り切るための、お役に立てれば幸いです。

そして、今のその辛く悲しい気持ちも、悔しい怒りの気持ちも、

いつかすべて良い思い出として、あなたの人生の糧になりますよう、祈っています。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

神田華子でした。