アインシュタインへの反論。必要以上に責めてくる他人にどう反応したら良い?
私がずっと好きで、心の支えにしている言葉があります。
「どうして自分を責めるんですか?他人がちゃんと必要な時に責めてくれるんだから、いいじゃないですか。」
ハンス・アルベルト・アインシュタイン
皆さんご存知、ドイツが生んだ20世紀最大の物理学者・アインシュタインの名言です。
私も昔は、仕事でミスをした時や、他人に対して失言をしてしまった時など、いつまでもクヨクヨ気にしたり、後悔したりするタイプだったので、
何度もこの言葉に慰められ、励まされてきました。
反省は必要だけど、いつまでも自分を責める必要はないんだと、立ち直る勇気をくれる言葉です。
でも、最近とあることをよく考えるようになりました。
「他人が必要な時にちゃんと責めてくれる」と言いますが、世の中には、理不尽に責められている人もいるんじゃないかな、と。
過去の失敗やトラブルについて、いつまでもねちねち嫌味を言ってくる人。
生理前のイライラをぶつけてくる人。
自分のことを棚に上げてこちらに責任を押し付けて怒鳴りつけてくる人。
社会にはいろんな人がいますから、
必要以上に、理不尽に責められていると感じる人も、いるんじゃないでしょうか。
そして、そんな人に囲まれて理不尽に責められることに慣れてきて、
だんだんと、「自分が悪いのかも」と自信を失っていませんか?
「自分が弱いから悪い」
「うまく立ち回ることができない自分が悪い」
「相手を怒らせるような自分の存在自体が悪い」
もしあなたがそんな風に思っているのであれば、はっきり言わせてください。
いいえ、それは違います。
自分が楽をして利を得ようと、あなたを利用している相手が悪いんです。
あなたの自尊心を傷つけてコントロールしようと、心ない言葉を発してくる相手が悪いんです。
自分のストレス発散の為に、理不尽に周りに怒鳴り散らす相手が悪いんです。
・・・でも、残念ながら私たちは誰も、他人を変えることは出来ないんですね。
では、他人に不必要に責められている時、またはそう感じた時、どう受け止めれば良いでしょうか。
今日は、「ちょっと必要以上に理不尽に責められている」気がしている時に、考えてみてほしいことをお話しします。
①現象への批判であって、自分自身への否定ではないと認識する。
相手が批判していることを、あなた自身への批判と捉えていませんか?
遅刻を責められた時、もうあなたには価値がないと言われましたか?
ケアレスミスを指摘された時、最低の人間だと人格を否定するようなことを言われましたか?
指摘されたことは、その対象だけを切り取って考えましょう。
あなた自身の人格や存在価値を否定しているわけではないんです。
相手の批判や指摘に、過度に怯える必要はないんですよ。
不愉快なおまけがたくさんついたアドバイスだと思って、その本質だけを受け取りましょう。
その上で、自分だけが過剰に責められていると感じる時は、どうしましょう。
②本当は誰の問題かを冷静に考える。
トラブルが起きた時、その原因が1つということはまずありえません。
あなたが責められているとき、その問題の原因が本当にあなただけどいうことは、ほぼありえません。
原因となりうる色々な要素が絡み合って、問題というのは顕在化するものです。
「本当に私だけが悪いのか?」と自問してみてください。
ミスが増えたのは上司の仕事配分が悪いからかもしれません。
本来はあなたの業務領域ではないことをやらされているせいかもしれません。
指示が曖昧、情報が足りない、マテリアルがない、前工程での段取りが悪い、など、
本当は誰が背負うべき問題か、というのを冷静に客観的に考えてみてください。
客観的に見る方法は、自分を画面の中にいると想像して、そこからズームアウトして、ドラマの中の1シーンのように全体を見るのです。
そして、回想シーンのように、この場面に至るまでの、少し前のことを想像したり、他の場所で起きていたことを想像してみるのです。
そうして全体を映し終わった後に、また主役であるあなたをズームで映してください。
みんなの問題をたった一人の責任にされて、無様に怒鳴り散らされ、立ち尽くしている主人公の姿が見えてきませんか?
泣きそうな顔で、「私が怒られてるから、きっと私が悪いんだ」と思いそうになっているその主人公を、
「いやいや、さっきちょっと全体を見て来たんだけどさ・・・」と、助けに行ってあげてくださいね。
さて、相手に暴言を吐かれるほど自分だけが悪いわけではない、と確証が持てたところで、
どうやって相手の言葉に傷付かずに受け入れられるのか、考えてみましょう。
③相手の言葉の主語を一人称に変えてみる。相手は自分の価値観を共有しているだけ。
相手があなたを責めている時、相手の価値観が露呈しています。
プレゼン資料の提出納期が遅れたことに対して目くじらを立てている上司は、何を重視しているのでしょう。
時間を守ること?資料の完成度?お客様への信頼?それとも世間体?
相手の発言の主語を一人称(私/俺/僕)に変えて、相手がどんな価値観からその発言に至っているのか、想像してみましょう。
「納期も守れないなんて、お前はほんとにダメな奴だな!社会人失格だ!」
と言われたら、
「俺は納期を守れない奴は社会人としての基礎が出来ていないと思う」と言っているのだと、
主語を変換して、彼の価値観を伝えるメッセージとして受け入れることにしましょう。
「デブは人間のクズだ」と言われたら、
「私は食欲をコントロールしてスタイルをキープできている自制心こそが人間としてあるべき姿だと思っている」という、
相手の価値観を共有されただけだと思いましょう。
暴言というのは、そのままダイレクトに心に取り入れてしまうと、心がとっても傷付いてしまいます。
主語を変換し、想像力で柔らかい自己主張メッセージにしてから取り入れましょう。
さて、優しいあなたはここから相手のことも考えてみるのも良いかもしれません。
④相手の立場を想像してみる。
あなたの前で顔を真っ赤にして大きな声を出している相手は、どうしてこんなに怒っているのでしょう。
たまたまお腹が空いていて、機嫌が悪かったのかもしれません。
朝ごはんの炊飯器のタイマーを入れ忘れて、悔しかったのかもしれません。
このように、責められている内容自体は単なるトリガーで、
あなた自身とは全く関係のないことでネガティブな気持ちになっている相手の感情の、
はけ口にされているだけということはよくあります。
または、あなたが知らないところであなたのためにすごく努力してくれていた、あなたのことを思って裏で入念な下準備をしてくれていた、
でもそれが無駄になってしまったから、あなたの理解を超えるほど、相手はムキになって怒っているのかもしれません。
その経緯をあなたに伝えられるほどの余裕が相手にないのかもしれないし、見栄やプライドで素直になれないのかもしれません。
もしくは、過去に自分が同じことで執拗に怒られた経験があり、その仕返しをあなたに返しているのかもしれません。
理不尽に責められる、怒られるというのはとても気分の悪いことですが、
こんな風に、相手の立場を想像してみてはいかがでしょうか。
それでもどうしても背景となる理由が想像できない、納得いかないようであれば、
もらい事故にあったくらいの気持ちで、真に受けすぎないことも重要です。
とはいえ、どんな理由があれど、こんなひどいことを人に言えるなんて信じられない!と不可解なあなた。
どうして相手はこんなに攻撃的にあなたを責めてくるのでしょう。
⑤相手の心がとても弱っている。
相手を必要以上に責めてしまったり、攻撃的に感情をぶちまけてしまう人というのは、
実は心の中は不安でいっぱいで、ストレスレベルが高く、鬱の一歩手前だったりすることもあります。
責め気質、攻撃気質の人というのは、常に何かに追われているように感じていたり、プレッシャーが大きく余裕がなかったり、
自分を取り巻くあらゆるものへの不満を溜めに溜め込んで、身体も心も不健康な状態なんですね。
だから人に当たって良い、他人を傷つけて良いというわけではありませんが、
心の中はとっても寂しい、辛い思いをしている人である可能性が高いということです。
そのうえで、それなら尚のこと、そんな人をいちいち相手にしていては、
当然こちらのメンタルにとっても良いことはないのですから、究極的にはこれです。
⑥関わらない。相手にしない。
できるだけ距離を取り、関わらないようにしましょう。
物理的に離れられるとベストですが、
そういう人のところには誰も近寄りたがらないので、誰かが犠牲になるんですよね。
私も過去にいたとある職場で、ヒステリックな上司の席から出来るだけ離れた席に座ろうという社員全員の、水面下の戦いを思い出します・・・。
(結果、私はその上司の目の前の席に座らせられました。。。笑)
物理的に距離を取れないのであれば、精神的にスルーしましょう。
「相手は(今いる組織の中で上司という立場であったとしても)、私の人生にとってさほど重要な人物ではない」と心の中で唱え、
「今日もこんなにストレスをまき散らして、相当、生き苦しいんだな」と、相手の辛い過去や現在に思いを馳せ、
暴言を吐かれたら、「分かりました。ありがとうございます。」と、その場をおさめることを優先しましょう。
反論しても相手は変わりません。
相手の理不尽な主張にむきになって言い返しても意味がないことが多いです。
相手の土俵に立つ必要はありません。
「ありがとうございます。では。」と、その場から(精神的に)立ち去りましょう。
最後に。
冒頭に紹介したアインシュタインの言葉は本当に素晴らしい、大好きな言葉です。
でも、必要以上に責めてくる他人が周りにいる環境では、この言葉は響きにくいかもしれません。
他人から必要以上に責められ、そのストレスが重なることで視野がどんどん狭くなり、正確な判断が出来なくなり、自分でも自分を責めてしまう。
そんな悪循環に陥る前に、今日ご紹介した考え方を試しつつ、出来るだけ関わらないように逃げましょう。
「逃げるは恥だが役に立つ」という言葉をご存知ですね。
某人気ドラマなり愛らしいダンスなりを思い出す方がほとんどかもしれませんが、実はこれはハンガリーのことわざです。
「自分の戦う場所を選べ」ということです。
今、自分がいる場所や置かれている状況にしがみつく必要はない、生き抜くためには逃げることも選択肢に入れよう、というメッセージです。
必要以上に理不尽に責められたとき、常にそれに立ち向かう必要も、すべて受け入れる必要もありません。
スッと避けて、サッと逃げる。
それだけで良かったりするんです。
願わくば、理不尽に不必要に相手を責めてしまうあの人も、
自分の過去と向き合い現在の不安を浄化し、穏やかな心の平和を取り戻せますように。
その時には、あなたを無闇に傷付けた自分の未熟さや愚かさに気付きますように。
それまでの間、あなたが心の平安を保てますように。
そして、保てない時には、心が折れてしまう前に立ち去るという選択肢を、持てますように。
そんな風に、祈らずにはいられません。
皆の心が少しずつ軽くなる、そんな魔法があると良いですね。
でも、そんな魔法はなくても、あなたの心は、必ず軽くなります。
出来ることから、やっていきましょうね。
今日も読んでくださってありがごうございます。
神田華子でした。