言いたいことを口に出そうとすると、自然と涙が出てきてしまうあなたへ。
自分の気持ちや考えを、相手に言葉で伝えなければならない時、いつも、そんなつもりは無いのに自然に涙が出てきてしまう方はいませんか?
これは感情失禁ともいい、自分の意思とは裏腹に、抑えたくても抑えられずに感情が溢れ出てきてしまう現象です。
実は、私も昔はそうでした。
自分が思っていることを言葉にして表現しよとすると、責められているわけでもないのに、自然と涙が流れてきてしまう。
泣きそうな自分に気付くと、泣いちゃダメだと思って余計に言葉が出てこなくなり、涙ばかりが出てきてしまう。
泣かれると何も言えなくなるからずるい、と言われたり、
薬を飲むなりして自分でコントロールしろ、と言われたこともあります。
わざと泣いている訳では無いのにズルいと呆れられたり、薬を飲んでコントロールしろと冷たく言い放たれたことが、すごく悔しかったことを覚えています。
涙が出てきてしまうことで、適切なコミュニケーションが継続できなくなるんですね。
でも、少しずつ感情コントロールが出来るようになり、今ではそのように、何かを伝えようとして自然に涙が出てきてしまうということはありません。
もちろん、涙を流さなくなったわけではありませんよ。
でも、涙を流さずに自分の気持ちを伝えられるようになったことで、私の人間関係も劇的に変わり、とても楽になりました。
ということで、当時の私と同じように、「自分の気持ちを伝えようとすると涙が出てきてしまう方」に向けて、今日はこの記事を書いていきたいと思います。
どうして言いたいことを言おうとするだけで涙が出てきてしまうの?
この現象の理由はシンプルで、普段から言いたいことを言えていないからです。
相手に嫌われないように、場の空気を乱さないようにと、
日頃から、言いたいことを我慢している癖がある方は、
本当は沸き上がってきている感情にいつも蓋をして、抑え込んでいる状態です。
感情というのは抑圧しても無くならないので、知らないうちに溜まりに溜まったその感情は、
表現する機会があると、ここぞとばかりにドッと溢れ出してくるんですね。
また、そのように日々、自分の言いたいことを飲み込んで過ごしているので、自己開示や、自分の気持ちを言語化することが苦手です。
まさに昔の私がそうだったのですが、相手を傷つけたくない、嫌われたくない、迷惑や心配をかけたくない、という風に、相手の気持ちばかりを優先してしまうと、
自分の気持ちをどう相手に伝えたらいいか、分からないのです。
なので、いざ自己開示が必要な場面になったときに、どう表現して良いか分からないプレッシャーとストレスが、
涙や、人によっては怒りという形で、溢れ出てきてしまうのです。
台本もなく、練習もリハーサルもしていない準備不足の状態で急に舞台に立たされると、おそらく泣きそうになってセリフが出てこないですよね。それと同じような状況です。
泣くこと自体は悪いことでは無い。
涙が出てくるのは、副交感神経が涙腺を刺激しているからです。
副交感神経というのは、心拍数を下げたり筋肉の緊張を緩めたりして身体をリラックスさせる機能を持っていますので、
つまり、あなたが感じているストレスをコントロールするために、副交感神経が働いてあなたに涙を流させている、生物学的に正常で、必要な現象なんですね。
泣くのを我慢して胸がドキドキしたり苦しくなっている時は交感神経が優位になっている状態ですが、
泣くと副交感神経優位に切り替わるので、なんとなくホッとしたり、リラックスできるのはこのためです。
このように、涙はあなたにとって非常に大切な役割を果たしてくれていますから、泣きたい時には思い切り泣くことは必要です。
でも、自分の気持ちを表現しようとする度に涙が出てくるのは、長い目で見ると人間関係にとってマイナスでしかないことですよね。
自分自身でも、「また泣いてしまった」と自己嫌悪を感じたり、
そんなつもりはないのに相手を嫌な気持ちにさせてしまったと不安になったり、嫌味を言われて辛い更に心が傷付いたりして、
また泣いてしまうのが嫌で、ますます本音をいえなくなる、という悪循環に陥ってしまいます。
どうしたら泣かずに意思表現ができるようになるの?
この状況を改善するには、自分の気持ちや要求を言葉で伝える、自己開示の練習が必要です。
日ごろから、些細なことでも自分のことをはっきりと言葉で表現することです。
自分の気持ちを表現するときに涙が出てきてしまう方は、普段から日常生活のほんの些細な事でも、言えずに溜め込んで、我慢している傾向があります。
相手の気持ちを考えすぎたり、自分が我慢して場をおさめることに慣れていたり、
または、相手に察してほしい、言わなくても自分の気持ちを分かってほしい、という思いもあるのかもしれません。
でも、自分と同じように物事を考えたり感じている人はいませんので、自分の考えや気持ちというのは、言葉にして伝えない限りは、決して相手に伝わらないものです。
そして、あなたの言ったことに対して相手がどう反応するかは、あなたにはコントロールできない領域で、相手がどう感じるかというのは相手の課題です。
あなたがどんなに心配しても踏み込める領域ではないので、手放してしまいましょう。
あなたがAが良いと思うなら、相手がBだと言っていても、自分はAが良いと言っていい。
あなたにはその権利があるし、本当にあなたのことを思ってくれている人であれば、あなたが自分を表現することで、より関係が深まるはずです。
より健全な人間関係を築けるようになるために、まずは勇気を持って自己開示をするという意識を、普段の生活から心掛けましょう。
アサーションを意識したコミュニケーションを学べば、相手も自分も尊重した自己主張が出来るようになります。この記事で紹介しています。
自分の気持ちを表現する練習をしよう!
自分の考えや気持ちを相手に伝えるというのは、とても勇気のいることです。
受け入れてもらえないかもしれない、馬鹿にされるかもしれない、相手が離れていってしまうかもしれない。
色んな不安があるのは本当によく分かります。
でも、自分は自分のために生きている、本当に困った時に自分を助けられるのは自分だけ、という意識をしっかりと持って、
相手ばかりを優先していた行動や判断の基準を、適切に自分を表現することにより、正しく自分の所に取り戻しましょう。
自己開示の得意不得意は、決して生まれ持った性格ではありませんので、練習すればするほど慣れて上手に出来るようになりますよ。
そのための練習方法を3つご紹介しますね。
練習方法①まずは言えそうな相手で練習する。
いきなり、いつも不機嫌な顔ですぐ怒鳴り散らしている上司、などのラスボスに立ち向かう必要はありません。
自分をむやみやたらに傷付けようとしてこない人、しっかり話を聞いてくれそうな人に、自分の気持ちを伝えることから始めましょう。
スモールステップで、少しずつ言いたいことを言うことから始めるだけで良いんです。
それは、家族かもしれませんし兄弟かもしれません。
むしろ、1番関係の薄い人でもいいかもしれないですね。
この人なら言えそう、信頼できそう、という人を選んで、自分の思いを伝えてみてくださいね。
練習方法②ノートやSNSやブログに書く。
自分が言えなかったことや我慢してしまったことは、ノートやブログやSNSに書き出しましょう。
言いたいことが言えない理由の一つに、そもそも何が言いたいかはっきり自分で分かっていないことが原因の一つに挙げられます。
自分の不快な感情を言語化する能力は、書くことでかなり鍛えられます。
また、言語化を意識することで、自分の感情により意識が向かいます。
自分の状態や感情を言語化できるようになるためには、
簡単な短い文章で構わないので、自分の気持ちや、本当はこうしたかったという希望を書き出すことが、とても良い練習になります。
練習をすればするほど本番にも強くなりますので、是非やってみてくださいね。
書き出すことの効果と方法については、こちらの記事でも紹介しています。
練習方法③音声を録音してみる(慣れます!)。
聞いている人が居なくても自分の気持ちを声に出すことで、自分の気持ちを言葉にして発するということに慣れます。
よく、YouTubeなどでお悩み相談を読み上げている人がいますよね。
そんな感じで、その日に不快に感じた出来事を声に出して録音してみましょう。
誰かに電話で相談するような気持ちでも構いません。
最初は照れ臭いと思いますし、自分の録音された音声が聞き慣れないかもしれませんが、
これは本当に慣れます。
別に聞き返す必要は無いですし、そのまま削除してしまっても構いません。
言葉にして吐き出す、ということがすごく効果があります。
自分の本音を意識して言語化する習慣がつくと、いざ必要になった時にスムーズに言葉が出てくるようになります。
いつも我慢する環境に慣れていると自分の気持ちや言いたいことが分からなくなってきますが、
客観的に説明しようと日頃から考えることで、自分の気持ちがクリアになりますので、
どう伝えていいか分からない、自分の本心が分からない、どうしたいか分からない、ということが減ります。
泣いてしまう時の対処法「注意シフト」。
泣きそうと気付いた時に、泣いちゃダメ!と意識すると、もっと泣いてしまうものですよね。
そういう時には泣きそうな自分にフォーカスするのではなく、視線を変える、意識をそらすことが重要です。
これを注意シフトといい、不安を感じた時にも有効な方法です。
部屋の中にある色や周囲にいる人の服の色の数を数えるなどが効果的です。
無意識に涙を戦略にしていないか。
相手をコントロールするための涙もあります。
涙を流すことでその場を逃れられる、意見の衝突を避けられる、相手が折れて譲ってくれる、という体験をしたことで、
涙がコミュニケーションツールとなってしまっている方がいます。
これは、戦略的に使っている方もいるのですが、無意識に使っている場合もあります。
でも、そういうコミュニケーションはうまくいかないはずです。
相手が離れていくことに繋がります。
泣くことで相手を黙らせてコントロールする、というコミユニケーションを、心のどこかで楽だと感じていないか?
心当たりのある方は、ぜひ一度、自分に問いかけてみてくださいね。
余談︰これからますます重要なスキルかも。
日本では昔から、空気を読んで他人に迷惑をかけず、協調性を大切にして、その場の空気を乱さないことが良しとされてきましたが、これから日本社会も変わっていくのではと思います。
インターネットによる情報化社会、グローバル化、外国人の増加により、
日本の常識は世界の常識では無いこと、日本の美徳は必ずしも世界の美徳にならないこと、
そして、言わないと分からない、通じないという状況が、より顕著になってくるのではと思います。
世界的には、自己主張が出来ずに相手に譲ってばかりいると、搾取されるだけという社会も沢山あります。
列に並ぶのを譲っていると、いつまで経っても自分の番は来ない。
自分の権利は自分で主張し、自分で守るしかない。そんな価値観で生きてきた人達がたくさんいます。
国籍問わずそんな考えの人が日本にも増えて、自己主張が出来ないとますます損をして搾取される社会に変わっていくとしたら、
それが出来ないままだと、生きづらさが増す一方かもしれません。
これは、善し悪しではなく時代の流れで、抗えないものです。
察してもらったり譲ってもらうのを期待して黙って待つのではなく、
適切に自己開示・自己主張ができるようになるということは、今後ますます重要になっていくのではと思います。
最後に。
自分の言いたいことが言えずに涙が出てしまうというのは、体質ではなく意識と習慣です。
自分の意思や感情を表に出すことは怖いことです。勇気がいることです。
でも、少しずつその勇気を出すことで、人生は変わっていくんです。
私も変われました。
あなたも絶対変われますよ。
少しずつ、小さなことから始めてみましょう。
あなたの今日の小さな勇気が、これからのあなたの大きな自信と喜びに繋がりますように。
神田華子でした。