HSPのあなたへ。人生を諦めないで!
HSPという言葉が広く知られ始めてきましたが、今日は私がモヤモヤと感じていることを書かせてください。
それは、「自分はHSPという生まれつきの特性だから」という理由で、人生を諦めないで!ということです。
「生まれつきの気質だから、これは変えられない。あれも出来ないし、これも出来ないの。こんなことが出来たら楽しいけど、HSPだから無理なんだ。」
こんな風に、HSPというカテゴライズでかつては救われたはずの方が、
HSPという枠に自分をはめることによって、人生の色々なことを諦めてしまっているのではないか、と感じています。
これまで小さい頃から何年も、人より敏感で他人の気持ちが気になって音や光にも敏感で怖い映画や漫画も見れない。どうして自分だけがこんなに苦しいの!って悩んでいた方が、
HSPという言葉に出会い、「これも当てはまる、これもこれもこれも当てはまる。私ってHSPだったんだ!気にしすぎる私が悪いわけではなく、私だけが特別神経質なわけでもなく、こういう特性を生まれつき持ってる人が、他にもたくさんいるんだ!」
そんな風に思うことで、安心したり気が楽になったという方は多いのではと思います。
でも、そのことをきっかけに、「だから私にはこれが出来ない」「HSPだから仕方ない」と、
不安なことを避けるために楽しいことも避けて、なんとなく人生が過ぎていくのをただ待っている、そんな風に生きている人がいるとしたら、
それってとっても、もったいないことだと思うんです。
もちろん、そんな生き方でもいいんです。
いいんですけど、私はもったいないと思ってしまいます。
どうして私たちは生きているのか、その答えはどこにもないし、私たちは誰しも自ら望んでこの世に生まれてきたわけではありません。
でも、今日も私たちは生きているんですよね。
毎朝普通に目を覚まし、1日が始まるんですよね。
そして、望む望まないとに関わらず、与えられた今日を生きていくんですよね。
だったら、理由は分からないけど今日も自分に与えられた、その一度きりの人生を、
本当はやりたいこと、好きなこと、ワクワクすることをたくさん諦めて、ひたすら日陰を探して生きていくような人生にするよりも、
少しでももっと前向きに楽しんでほしいと、私は思ってしまうんです。
そんな思いから、今日はこの記事を書いています。
HSPとは病気ではない。
HSPというのは、Highly Sensitive Personのことで、簡単に説明すると、
とっても繊細で、人の気持ちや周りの言動にすっごく敏感で、五感が人よりも優れているので、光や音の刺激に極端に弱かったりする、というような特性を、生まれつき持っている人のことを指す言葉です。
5人に1人はHSPと言われているほど身近なものだとされていますが、「生まれつき繊細な気質を持っている」「病気ではなく特性である」というように言われています。
実際に病名ではないので、病院でHSPと診断されることはありません。
それにもかかわらず、HSPチェックリストがインターネットでもたくさん出回っており、何個以上チェックがつけばあなたはHSP傾向あり、という感じで、個人で勝手に判断できちゃうんですね。
しかも、「チェック数が少なくてもその傾向が強ければHSPの可能性もあります」という曖昧なことも書いているのを見て、
「そんなこと言い出したら、誰でも当てはまるんじゃない?」と思い始めたんですね。
すごく神経質で五感も鋭く細かい性格なのに、一方で、人の気持ちをまったく考えない繊細とは程遠いデリカシーのない面を併せ持つ人もいますよね。
人間の性質には先天的なものと後天的なものが複雑に入り乱れていますが、そういうものだと思ってきた性質というものが、実は育ってきた文化背景や環境の影響によるものが大きかったりするんですよね。
だから、そんな数十個の特徴に当てはまっているだけで、「あっ自分はHSPなんだな」と認定できてしてしまうというのは、なんだか違和感というか、危険性を感じてしまったんですね。
その特徴は、本当に「HSPだから」なの?
HSPの特徴に当てはまる人はたくさんいるかもしれませんが、必ずしも「イコールHSP」とはならないのでは、と思うんですよね。
もちろん「非繊細さん」と呼ばれるような、まったく当てはまらないという人もいるかもしれませんが、
私たち日本人は、日本社会で暮らしている限り、周りの空気を読んだり他人の不機嫌な態度が気になったり、相手の気持ちを考えて言いたいことが言えなかったり、
大なり小なり色んなことに気を遣って生きている人がほとんどなのではないかと思います。
例えば、神経質な性格というのは後天的に習慣になっている部分もありますし、
人の顔色が気になるというのは、そういう環境で育ったから、または過去のトラウマや刷り込み等が原因とも考えられます。
不安になりやすいのはカルシウムやビタミンや鉄分が足りていないかもしれませんし、認知の歪みが原因かもしれません。
HSPの特徴を見て自分に共通する項目を探して安心するのは良いことなのですが、安易に「自分はHSPだ」と判断する前に、
「自分はこういうHSPの特徴を持っているけど、どうしてなんだろう」と、1つ1つの原因を考えてみても良いかもしれません。
もちろん、答えは出ないかもしれませんし、無いのかもしれません。
でも、安易に「自分はHSPだから」と、自分の中に固定観念を持ってしまうことは、
その現状をこれ以上改善しようという意欲や、もっと良くなるかもしれないという可能性を、遠ざけてしまうことになるかもしれないと思うんですね。
私が感じていたモヤモヤの正体。
私は近しい友人が強度のHSPだと打ち明けてくれたことをきっかけに、HSPについて色々と調べ始めたのですが、
そうして色々と調べていくうちに、どうにもモヤモヤとした気持ちが強くなってきたんですね。
自称HSP勢の「もっと私に気を遣って攻撃」に辟易する人の体験談なんかも目にしましたし、HSPは特別な才能ですというような内容も目にしました。
もちろん、繊細であるという特性が活かしやすい分野や職業はあると思いますし、芸術面で歴史に名を残してきたような人たちは、とても感受性が豊かで繊細だったというような話もよく耳にしますよね。
なので、特別な才能であるという表現自体も、私は否定しているわけではありません。
でも、そういうことでなくて、なんだか、HSPというラベルが一人歩きしているというか、
みんながみんなHSPというラベルをあちこちに貼って、都合の良いように使っているような印象を受けたんですね。
その中には本当のHSPの方もいらっしゃると思いますので、そういう方にとっては、こんな風に「自称HSP」が増えることで、
彼ら・彼女らの本当の大変さが、伝わりにくくなるんではないかなぁ、というような懸念を持ちました。
自分に都合よく物事を進めたり、出来ないことの言い訳をするためにHSPというラベルを使う人が増えれば増えるほど、信ぴょう性がなくなるというか、
「HSPを名乗る人って気を遣ってほしいだけでしょ」という風潮になってしまうんじゃないのかな、という不安です。
もちろん、みんなそれなりに当てはまると思ってHSPだと言っているんだと思いますし、
ご自身がHSPだと思っている人を、「本当はあなたHSPじゃないんじゃないの?そんなに辛くないんじゃないの?」と言いたい訳ではありません。
HSPの特徴の出ている方たちは、そうでない方々にとっては想像もできないような、
大変な生きづらさや、辛い思いをたくさんして、いっぱい我慢もしてきたんだと思います。
でも、HSPだと分かったことだけでは、そしてそのラベルを自分に貼っただけでは、おそらく人生はそんなに良くはならないんですね。
HSPというラベルをツールにした人間関係というのは結局うまくいかず、自分自身の生きにくさが増すだけの結果になってしまうと思います。
自分のこの特徴がどうして顕在化しているのか、その根本的な部分を改善していくことで、生きにくさが解消されていく可能性が高まると思いますので、
現状の生きづらさを改善したい方は、是非、勇気を出して自分の内面と向き合ってみてくださいね。
諦めないで。できない自分を責めないで。
HSPの特徴がある方にとって、現代社会はすごく生きにくい、刺激の強い場所だと思います。
でも、これも出来ないあれも出来ないと、いろんなことをHSPだからと諦めて生活していると、それが癖になってしまうし、言い訳になってしまっているかもしれません。
それはもちろん、過去にたくさん頑張って期待して、結果と自分に失望して、という経験を繰り返してきたせいかもしれません。
「また出来なかった」「自分にはこんな簡単なことも出来ない」というような自己否定を感じるのが嫌だから、
「どうせ出来ないからやらない」という、最初から諦めるという思考になってしまうのは、ある程度、仕方のないことです。
人間ですからね。
何度倒れてもすぐに起き上がれる、アスファルトも貫いてでも咲き誇る雑草のような人ばかりではありませんよね。
でも、そんな風にいろんなことを最初から諦めて生活していると、無意識化では「できない」自分を認識していますから、自己肯定感もどんどん低くなってしまいます。
何だか自分には価値がないように感じてしまうことにも繋がると思うんですね。
なのでね、まずは、できないことがあることを責めないでほしいんです。
できていることは、たくさんあるはずです。
できないことを数えないで、できていることを評価して、できることを1つずつ増やしていけばいいんです。
「簡単なことから始めると、それすら出来なかった時にもっと落ち込む」という声も聞こえます。
でも、そんなに自分に厳しくしないでくださいよ。
そんな簡単なことって、誰が決めたんでしょう。あなたですよね。
どんなに些細に見えることでも、今できないことができるようになったり、1ミリでも自分の状態が改善されれば、それは大きな1歩です。
ゆっくりでいいんです。
出来そうだなと思えることを、出来そうだなと思える日に、万全の準備でやってみる。
そういう成功体験を少しずつ積んでいくことで、「何もせずに諦める」という癖から、少しずつ抜け出していけるはずです。
そしてどんな小さなことでも、昨日できなかったことが今日出来たら、全力で自分を褒めてください!
結果を出したことだけでなく、勇気を出してトライしたこともちゃんと褒めてくださいね。
逆に、昨日できたことが今日できなかったら、その時も、まずは勇気を出してトライした自分をしっかりと褒めてください。
そのうえで、「今日はできなかったけど、昨日はできたから、明日か明後日には、また出来るかもしれない」と、考えてください。
「HSPだからこれしか出来ない」と、自分の幅を狭めるためではなく、
「こういうHSPの特徴があるから、こういうことに気を付けて、こういう対策をしていこう」と、前向きに利用してほしいと思います。
HSPを理由に、自分がやりたいこと、生きたい人生を、簡単に諦めないで欲しい!
というのが、一方的かもしれませんが、私の思いなんです。
最後に。
自分の内面と向き合って、今の生活を変えていくというのは、すごく勇気がいることです。
心の中では本当は、今の生活のままずっと過ごせれば、楽だと思っているのかもしれません。
でも、本当に変わりたいと思っている人の人生しか変わっていきません。
どんな人生を送りたいかはあなた次第です。
一度きりの人生を、どう生きていきたいか、感じることが出来るのはあなただけです。
目を閉じて、心の奥底に隠れている本当の自分に会いに行ってみてください。
その自分が、泣きながら、変わりたいと言っているのであれば、
勇気を出して、現状から何が出来るかを考えて、行動にうつしてみる時です。
その第一歩が、自分に当てはめていた「HSPというラベルを外すこと」かもしれません。
勇気を出してHSPのラベルを外して、ただの一人の「人」になった等身大のあなたが、
これからもっと前向きに人生を楽しめるよう、応援しています。
あなたが今日も、何かで笑っていますように。
神田華子でした。