マズローの5段階欲求~自己実現に必要なこととは?

今日は、アメリカの心理学者マズローの『欲求5段階説』についてお話したいと思いますが、

特にこの記事では、自己肯定感にも関わる『自己実現欲求に必要なこと』について説明したいと思います。

自分の目標に向けて突き進んではいるものの、

なんだかモヤモヤが消えない、充足感を感じられないという人は

是非、最後まで読んでみてくださいね。

マズローの欲求5段階説とは?

この5段階説についてはご存じの方が多いと思いますが、

人間の欲求を5段階に分けて説明しているものです。

一般的に、下層の欲求、つまり下の方にある欲求が満たされて初めて、

次の欲求へと進むと理解されていますが、

実は、人や状況によって優先順位が上下することもあるものだとされています。

それぞれの欲求について簡単に見ていきましょう。

第1段階:生理的欲求

生きていたいという欲求、生命を維持していこうとする欲求です。

主には、食欲、性欲、睡眠欲ですね。

ピラミッドの基盤となる欲求で、生きていくうえで最低次(=最重要)の欲求であるため

この生理的欲求が満たされていない状況であれば、

私たちはここを最優先で満たそうとし、それ以外の欲求についてはなくなるか、

後回しにされる、とのことですが、これは想像に難くないですね。

第2段階:安全欲求

安心していたいという欲求です。

安定や安心感、依存、守られているという感覚、恐怖と不安から自由であること、秩序やルールを守ることなどが当てはまりますが、

これもやはり、満たされるべき優先順位の高い低次欲求です。

これは物理的な身体面での安心だけではなく、心理的な安全性も含まれます。

これもとても分かりやすいと思います。

第3段階:社会的欲求(所属と愛の欲求)

衣食住が提供され、心身ともに安心な状態が満たされれば、

誰かとつながりたいという欲求が生まれてきます。

これが、社会的欲求であり、英語の原文では、

所属と愛の欲求(The Belongness and Love Needs)と表現されます。

愛し愛されたい、所属したい、つまり自分の居場所を感じたいという欲求ですね。

ここまでの3つの欲求は、外部環境や他者の評価を必要とするもので

『外的欲求』といわれています。

これ以降に説明する残り2つの欲求は、より高次の欲求であり、

自分自身の価値観や信念に基づいて行動したいという欲求です。

3つの段階の外部欲求が満たされると、内的欲求が自然と沸き上がってきます。(病的例外は除く)

第4段階:承認欲求(尊重の欲求)

承認欲求という言葉はSNS上などでも非常に多く見かけますが、

マズローの意図した使われ方ではないようです。

英語の原文はThe Esteem Needsとなっており、

Esteemとは尊重する、重んじるという意味です。

『尊重の欲求』とするのが直訳的な翻訳となりますね。

他人を尊重し、自分自身も尊重したいという欲求です。

自分自身を尊重する、というところから、承認欲求と意訳されたのかもしれません。

自分と他者を尊重したい、つまり、大切にしたい。

この第4段階の欲求とは、決して、人から認められること、承認されることだけを指しているのではなく、

そのようなニュアンスが込められているのです。

承認欲求を満たすために必要不可欠なのは自己肯定感!

ここからが、今日の本題に絡むところになります。

前置きにしては長かったですが、第3段階までの基礎知識も重要なので省けませんでした。^^;

この第4の欲求『承認欲求/尊重欲求』を満たすために必要不可欠なのが

自己肯定感となります。

マズローの言葉を引用しましょう。

自尊心の欲求を充足することは、自信、有用性、強さ、能力、適切さなどの感情や、世の中で役に立ち必要とされるなどの感情をもたらす。しかし逆にこれらの欲求が妨害されると、劣等感、弱さ、無力感などの感情が生じる。

人間性の心理学~A.H.マズロー~ 

かみ砕いて説明すると、この第4の欲求が満たされると、

私たちは自信や有用感、自尊心を感じることができますが、

この欲求が満たされていない状態であれば、劣等感や無力感を感じる、

つまり、自分に対してOKを出せなくなってしまいます。

すなわち、第4の欲求が満たされた状態というのは、

自分もOK、他人もOKの状態であるということ。

自己肯定感のある状態だということです。(高い、低い、ではなく『ある』を使います)

自己肯定感を得るために必要な「自己受容」とは?

そもそも、自己肯定感とは何でしょうか?

それは、

『今ここにいる自分自身にOKを出せること』です。

人間はみんな不完全です。

そんな、不完全である自分のあるがままを素直に認め、受け入れる。

セルフコンパッションが出来ている状態とも言えるかもしれません。

どんな自分であっても、ありのままの自分でここにいていいんだ、という感覚です。

そして、自分の状態や現実を理解し、

あるがままをまるごと受け入れることを、『自己受容』と呼びます。

つまり、自己肯定感を持つために必要なもの、それは『自己受容』なのです。

この、自己肯定感の土台となる自己受容ができて初めて、

第4の欲求を達成し、次の段階へと進めるということです。

承認欲求と聞くと、他者や周りから認められることだけなのかと思いがちですが、

自分で自分を認めることが、とっても大切な要素なんですね。

第5段階:自己実現欲求~ありのままの自分で輝く~

さて、こうして第4段階までの欲求が満たされると、更なる欲求が自然と沸き上がってきます。

それが、自己実現欲求です。

マズローの5段階欲求説では、第4段階までの欲求を『欠乏欲求』と呼んでいます。

欠乏欲求とは、満たされない空白を埋めようとする欲求であり、

足りないものを補おうとする段階です。

そして、承認・尊重欲求を満たすために必要不可欠な自己肯定感・自己受容の感覚を経て、

第5段階の自己実現欲求に至りますが、この欲求は『成長欲求』と呼ばれています。

この成長欲求とは、欠乏欲求とは対照的に、

欠乏感を埋めるものではなく、むしろ自分の内側から溢れ出てくる豊かさから生じる欲求とされています。

自己実現とは何なのか?

自己実現とは、社会的に価値のある高い目標を達成したり、

社会・経済的に成功するという意味ではありません。

しかし、実はマズロー自身も、自己実現がどういうものかを具体的に説明できていません。

それほど、複雑なものであるということだと思いますが、

解釈の余地が広く、正解がないものともいえるかもしれませんが、

私は色々とマズロー関連の書籍や記事を読み漁った中で

『自分の内なる可能性を発揮したい、自分らしくありたい欲求』という定義が

一番しっくり来るように感じます。

自己実現とは、英語原文ではSelf Actualizationといいます。

英語のActualizationは、実現の他に、具現化、具体化、実現化という和訳ができます。

つまり、Self Actualizationとは、自分自身を具現化すること、とも表現できます。

ハンターハンターで、オーラを物質化して目に見える形に変える能力を具現化系と言っていましたが、

自分自身を具現化させるということをイメージすると、

自分の中にあるもの、理想や夢、過去や未来の可能性。そして、それらすべてを素直に受け入れているあるがままの自分。

そんな自分の内的な状態を具現化していく、つまり行動し創造していく、とイメージできませんか?

私の言葉で言うならば、自己実現欲求とは、『ありのままの自分で輝く』ということです。

輝く=他者貢献も含まれる

ありのままで輝く。

それは自分自身の内的な充足感や幸福感から感じるキラキラは言うまでもなく、

周囲にとってもキラキラと輝いているということです。

マズローのいう自己実現は、

自分のことだけという自己中心的・利己的な意味合いではなく、

愛他的な精神も含まれていると言われています。

アドラー心理学でいうところの他者貢献の意味合いだと思います。

また、社会的な結びつきの中で発揮されるものであるとも言われており、

歯を食いしばって血の流れるような努力をして達成するものでなく、

流れに身をゆだねた状態で物事にかかわる側面が強いものだとも説明されており、

それらは、アドラーのいう、共同体感覚とも近い概念かなと思います。

等身大の自分でリアリティのある自己実現を目指そう!

自己実現というと、

何か大きなことを成し遂げたり、目標に向かって必死に努力しないといけないと感じるかもしれませんが、

このように、マズローの提唱する自己実現とは、

自分の能力や可能性を最大限に活かして、本来のあるべき自分になることなのです。

等身大の自分で現実に基づき、自分の内的可能性を発揮する。

ありのままの自分で輝きたいという欲求を達成するのは

時に困難なことかもしれません。

打ちのめされ、落ち込んで自分や他人を信じられなくなり、

自分らしさを忘れることもあるかもしれません。

第4と第5の欲求は、行ったり来たりを繰り返しながら

少しずつ達成していくものではないかと思います。

そして、それで良いのだと私は思います。

自己実現に向けて自然体で自己研磨していくこと、

それが人生の喜びであり、幸福につながるのではないかなと思います。

そのために、自己実現とは何か。

私たちは何を目指し、どんな欲求を満たすために今この行動をしているのか。

そして自分自身は何者であり、何を求め、何ができるのか。

こういった問いに1つ1つ自問自答しながら、是非あなたなりの自己実現を目指してくださいね。^^

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一緒に「自己実現」に向けて、今何ができるか、考えてみましょう。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。^^

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