ありがた迷惑?メサイアコンプレックスの解消法と対処法
こんにちは、神田華子です。
今日は前回の記事の続きです。
前回は、メサイアコンプレックスとは何ぞやというお話と
その問題点についてがメインでしたが、
今回は、自分のメサイアコンプレックスに気付いた時の解消法と、
周りにメサイアコンプレックスの人がいる場合の対処法についてまとめていきたいと思います。
そして、カウンセリングにおけるメサイアコンプレックスの問題点についても
書いていきたいと思います。
是非、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。^^
メサイアコンプレックスを解消する方法は?
①自分はそのままで大丈夫だと理解する
誰かを助けなくても、誰かの役に立てなくても、あなたはそのままで価値のある存在です。
今のままで大丈夫だと知ること、そしてそれを心から信じることで
メサイアコンプレックスから解消されていくことでしょう。
ありのままの自分を受け入れる、それは自己肯定感を高めるということでもあります。
自己肯定感についてはこんな記事もご参考いただけると思います。
あなたは何のために生きているのか。
それは他人の為ではなく、あなた自身のためです。
誰の為でなくても構わないのです。
そのままで良いんだということを、まずは感じてみましょう。
②課題の分離を学ぶ
境界線を引く、とも似ていますが、境界線を引くという表現は曖昧で分かりにくいですよね。
アドラー心理学でも有名な『課題の分離』の方が、しっくり来やすいかなと思います。
自分の他人と相手の課題をしっかりと見極め、
他人の課題には踏み込まないという意識が大切です。
何が相手の課題で何が自分の課題かを見極める方法は、
「最終的にその責任を引き受けるのは誰か」を考えることです。
他人の課題を自分の課題のように捉えて不用意に介入してしまうことは
相手の成長を妨げたり、ありがた迷惑と捉えられ相手にストレスを与えるなど、
人間関係のトラブルに発展します。
相手が自分自身の課題にどう取り組むのか、そもそも取り組むのか、解決せずにおいておくのか、逃避するのか、その選択も含め、それは相手の課題なのです。
それに対してモヤモヤしたりイライラしたりする?
それは、あなたの課題ですね。
まずは、どうしてそんな感情になるのか、自分自身の再探求を始めてみましょう。
③思い込みに捉われない(認知を見直す)
自然に瞬発的に出てくる思考(認知)のことを自動思考と言いますが、
自動思考の裏には潜在意識が影響しています。
潜在意識レベルで備わっている私たちの価値観というフィルターを通して
最初の認知が思考として認識されるのです。
なので、このフィルターが歪んでいたり偏っている場合、
認知も歪んだ、偏ったものになってしまいます。
これはつまり、思い込みということです。
私たちの認知・思考はすべて思い込みなのですが、
あなたが困っている人を見た時に、咄嗟に「このかわいそうな人を助けてあげなければ」と思っているとしたら
その思考自体が思い込みである、つまり、別の捉え方が出来るものである、ということを知ることが重要です。
困っている人=かわいそうな人ではありません。
困難は人を成長させ、強くさせ、時に他者との絆を深めてくれたり、自分の周りの世界に感謝をするきっかけとなるものです。
必ずしもあなたが介入し、即座に助けの手を差し伸べるべきことではないかもしれません。
物事には必ず2つ以上の見方があります。
あなたがとっさに考えたその思考・認知にも、それ以外の見方が必ずあるのです。
それを、出来るだけ多く探すようにしてみましょう。
そうすることで、少しずつ認知の歪みが矯正されていきます。
まずは、自分の認知が思い込みである、あなたが過去に蓄積した無意識のフィルターを通して自動的に沸き上がってきているだけの、矯正可能なものである、という認識をしっかりと持ちましょう。
④自分との対話を通して過去を癒す
メサイアコンプレックスに陥る人は、自己肯定感の低さや罪悪感、劣等感、自分自身に感じる無価値観を抱えていることが多いですが、
その原因を追究していくことも重要なヒントとなります。
私たちは自分のことを分かっているようで、実は分かっていないものです。
なぜ他人の問題に介入しなければ気が済まないのか、感謝をされなければ怒りを感じるのか、自分自身にしっかりと問いかけてみましょう。
私たち人間は、日々変わっていくものです。
自分自身とは、生まれてから死ぬまでずっと一番近くで、一番多くの時間を共に過ごす存在です。
自己探求とは、一生続く長い旅なのです。
過去に、弟や妹の世話をすることでしか両親に認められなった経験が原因になっているのかもしれません。
機能不全家族で育ち、常に自分を犠牲にしてきたことが原因となっているのかもしれません。
何が原因となっているのかは、あなた自身にしか分かりません。
自分自身との対話を通し、自分のメサイアコンプレックスの根本的な原因となっている過去そのものや過去の自分を癒し、
当時感じていた罪悪感、劣等感、無価値観が解消されることで
今の「人を助けなければ」というメサイアコンプレックスも解消されていきます。
あの人メサイアコンプレックス?!過剰にお節介な人への対処法
あなたの周りにも、過剰に他人の問題に介入したがり、他人の助言も聞き入れず、感謝を強要したり自分を犠牲にしていることに喜びを感じて困っている人を常に探しているような人が、いませんか?
ここまで読んでみてお気づきかもしれませんが、その方はメサイアコンプレックスに陥っている可能性が高いです。
ちょっと困っていたんだよね・・・という場合の対処法をご紹介します。
①距離を置く
残念ながら、あなたがメサイアコンプレックスに陥っている当人でない場合、
あなたがその相手を変えることは難しいでしょう。
むしろ、下手なことを言うと、逆上して大変なことになってしまう可能性もあります。
相手が変わるためには、相手が、自分自身で気付いて問題を自覚し、変化を求めなければならないのです。
あなたに出来ることは、そっと距離を取り、必要以上に関わらないことです。
メサイアコンプレックスの人は「助けさせてくれる人」を無意識に求めているので、
相手の介入やオファーをさりげなく断ることで、自然と相手から離れていくことがあります。
どうしてもこの人と付き合っていくのがしんどいな、と感じたら
そっと適切な距離を置くことを心掛けましょう。
②相手は自分のためにやっていることだと知る
メサイアコンプレックスの人は、あなたを助けることで自分が快感を得ているのですが、「介助者」という立場であなたより優位に立とうとしているケースも少なくありません。
「こんなに面倒見てやっているんだから」という態度で、あなたをコントロールしようとしていたら要注意です。
「助けてもらっているんだから」と負い目を感じたり、
「自分を犠牲にして他人に尽くせるなんて良い人に違いない」と相手の言うことをうのみにすることなく、
相手の厚意はあくまで『相手が自分自身のためにやっているんだ』という意識を持つことが必要です。
相手の自己満足のために、迷惑なまでに介入されるのは不本意だと思います。
負い目に感じて相手の言葉をうのみにしたり、意見に取り込まれたり、言われるがままにするのではなく、第三者にも相談するなど、しっかりと自分の見解や意見の軸を、自分の中に持っておきましょう。
カウンセリングにおけるメサイアコンプレックス
メサイアコンプレックスの人がそういう職を選びがち、ともいえると思いますが、
対人支援職の方はメサイアコンプレックスに陥りやすいと言われています。
特に、カウンセリングの場で、カウンセラーがメサイアコンプレックスであるというのはかなり危険な状態ですが、
でも、決して「無い」とは言えない状態なのです。
クライアントさん側も、大切な心のうちを打ち明けるカウンセラーを
きちんと選び見極める必要がありますが、
話を聞いてくれてアドバイスをくれて頼りになる、『依存させてくれるカウンセラー』が
安心できて心地よいと感じてしまう心理状態の方も多いのが現状です。
それで状態が回復したり良くなっているのであれば、
それでよしと見ることも出来るとは思います。
正解は無いのが、カウンセリングでもあります。
しかし、私は何度もこのブログや音声配信の中でもお伝えしているのですが、
カウンセリングというのは、本来は、ずっと続いていたら失敗なんですよね。
ずっとカウンセリングを受けています、リピートしています、
というのは、そのカウンセラーさんがすごく優秀なカウンセラーさんである、
という意味ではなくて、
結局その相談者さんは、カウンセリングに、そのカウンセラーさんに、依存してしまっているんですね。
それって本来は、カウンセリングのゴールではないんです。
カウンセリングを通して自分自身が成長し、自分自身の問題を自分で解決できるようになる。
自分のメンタルヘルスを、自分でケアできるようになる。
そんな風に、カウンセリングがいらなくなるほどにクライアントさん自身が成長するのが
カウンセリングの本来の目的だと私は信じています。
同じような問題にぶち当たったとしても、
前と同じようには悩まなくなる、
悩んだとしても、すぐに突き抜けることができる。
問題だったことが、問題にならなくなる。
そういう人間的な成長をサポートしていくことが
本来のカウンセリングの在り方ですので、
悩まれている方が、ある程度の期間カウンセリングを受けた後、
無事に巣立っていく・・・というのが、
カウンセラーとしては目標にするところなんです。
その期間というのは、数か月の方もいれば数年かかる方もいます。
もちろん、再発防止のためのメンテナンス的に、
定期的にカウンセリングを利用するのは大歓迎ですし、
予防カウンセリングという観点からも、とても良いことだと思います。
信頼できる相手との、壁打ちのような感じですよね。
これは、どんなメンタルヘルスの状態にある人でも、とっても大切なことだと思っています。
(メンタルの強い人、へこたれない人は、自然と周りにこの壁打ちが出来る人がいる場合が多いです。常に、専属カウンセラーがついているような状態ですね。)
けれども、例えばこのメサイアコンプレックスの傾向が強いカウンセラーさんが、
カウンセリングを通してクライアントさんを依存させるようなことになってしまうと
やっぱりそれは違うと思うし、ちょっと悲しいなと思いますね。
そのようなカウンセリングを続けても、
いつまでも心の状態が回復しないどころか、自分自身で安心の土台を築けないため
自分の感覚や決断に自信が持てず簡単に不安になったり、抑うつ状態が戻ったりしてしまいます。
クライアントさん側が依存を求めたとしても、カウンセラー側が、
「今のあなたはもう大丈夫ですよ。昔のあなたとは違うから、自分の問題に自分で立ち向かえますよ。もし将来、また何かあったら、その時に改めて来てくださいね。」と、
クライアントの成長を肯定し、認め、自信を持たせてあげて、
相手からの依存を断ち切るくらいの、覚悟と責任が必要かなと思います。
依存したい相手を依存させ続ける、というのは、
それはカウンセリングとは言えないのかなと思います。
最後に。
私自身も昔は他人軸で生きていて、
メサイアコンプレックスの傾向が強かったと思います。
感謝されたい、相手よりも優位に立ちたいという気持ちが無かったとは言い切れません。
そして、あらゆる他者の問題に心理的に介入しては、
「私がこの問題を何とかしなければ」と必死に悩み、勝手にストレスやプレッシャーを感じ、苦しんでいました。
そんな私が変わった大きなきっかけは、アドラー心理学を勉強して『課題の分離』について学んだことです。
もちろん、誰かの役に立てたり感謝されることは気持ちの良いことで、
私自身も、感謝の気持ちを表現することはとても大切にしています。
また、私もこういうお仕事をしてますし、仕事以外の場面でも、困っている人がいたら力になりたいとか、誰かの役に立ちたいという気持ちは強い方なので、
自分でも、「これは誰のためか?相手のためになっているか?」と、意識するようにしてます。
客観的に割と冷静に自分自身を見つめることができるようになっている今では、
他人の領域には入らずに自分が自分のために自分の領域の範囲でやるということを、きちんと割り切ることができるようになっています。
カウンセリングを受けるというのは、相談者さんのご判断です。
その上で、私は全力でサポートしたいという気持ちですが、
結局そのカウンセリングがどう生きていくか、どういう結果につながっていくかというのは、
私自身のカウンセラーとしての力量もありますが、クライアントさんご本人の意識や取り組み方の方がずっと大きいんです。
対等な立場で、心から今の現状を変えたいあなたと、それを応援したい私がいる。
それだけです。
あなたはあなた、私は私。
お互いに、出来ることをする。
私がこれまでに学んできた心理学やカウンセリング技法、傾聴技法を通して、
結果として、『カウンセリングを受けていた時間』が、あなたの人生のプラスになるような経験になれば良いなと思っています。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
神田華子でした。